SFコメディ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/10/14 09:20 UTC 版)

SFコメディ(英:Science fiction comedy)またはパロディSF・ユーモアSFは、SFまたはサイエンス・ファンタジーのサブジャンルである。このジャンルでは、エイリアンの地球侵略・恒星間旅行・未来技術といった、SF作品で使われる概念・比喩・慣習を嘲笑したり風刺したりして、笑いを誘うことが多い[1]。また、現代社会を風刺したり批判したりすることもある。
初期の例としては、ヘンリー・カットナーとアーサー・K・バーンズ(ケルヴィン・ケントのペンネームで、時には共著、時には別々に執筆)によるピート・マンクス・シリーズが挙げられる。1930年代後半から1940年代前半にかけてワンダー・ストーリーズ誌で発表されたこのシリーズは、タイムトラベルをするカーニバルの客引きが、トラブルから抜け出すために詐欺をする様を描いている。
続いて「ギャロウェイ・ギャラハー」シリーズ(酔っ払いの発明家とナルシスティックなロボットについて)とホゲベン一家・シリーズ(ミュータント化した田舎の一家について)で、カットナーはSFコメディ初期の最も人気のある作家の1人として、確固たる地位を築いた。前者は1943年と1948年にアスタウンディング誌に掲載され、ハードカバーの『ロボットには尻尾がない 〈ギャロウェイ・ギャラガー〉シリーズ短篇集』(ノーム社、1952年)としてまとめられ、後者は1940年代後半にワンダー・ストーリーズ誌に掲載された。
1950 年代にこのジャンルに貢献した作家には、ハリイ・ハリスン、ロバート・シェクリイ、アルフレッド・ベスター、C. M. コーンブルース、フレデリック・ポール、などがいた。
『銀河ヒッチハイク・ガイド』[2][3][4] は、ダグラス・アダムスが執筆したSFコメディ・シリーズ。1978年にBBC Radio 4で放送されたラジオコメディとして始まり、その後、舞台・小説・コミック・1981年のテレビシリーズ・1984年のコンピュータゲーム・2005年の長編映画など、様々なメディアへ展開した。イギリス文化を代表するシリーズとなった『銀河ヒッチハイク・ガイド』は国際的なマルチメディア現象といえる。中でも小説は広く出版されており、2005年までに30以上の言語に翻訳されている[5][6]。
テリー・プラチェットの1981年の小説『ストラタ(英語: Strata (novel))』もSFコメディの典型である[7]。
作家・作品リスト
小説
- カート・ヴォネガット著、『タイタンの妖女』、『スローターハウス5』
- フレドリック・ブラウン著、『火星人ゴーホーム』
- Rob Grant and Doug Naylor著、『宇宙船レッド・ドワーフ号』
- ジョナサン・スウィフト著、『ガリヴァー旅行記』
主にSFコメディを書く作家
SFコメディの著作がある作家
- スタニスワフ・レム (『宇宙創世記ロボットの旅(英語: The Cyberiad), Ijon Tichy)
- ルーディ・ラッカー (『時空の支配者(英語: Master of Space and Time)』)
- ロバート・アスプリン (『銀河おさわがせ中隊シリーズ(英語: Phule's Company (series))』)
- ジャスパー・フォード (『文学刑事サーズデイ・ネクスト1 - ジェイン・エアを探せ!(英語: The Eyre Affair)』)
- ジョン・スコルジー (『レッドスーツ(英語: Redshirts)』)
- ラリー・ニーヴン (The Draco Tavern)
- エリック・アイドル (The Road to Mars)
映画
アメリカはこのジャンルに多くの映画を送り出しており、シリーズ化したヒット作として、バック・トゥ・ザ・フューチャー、ゴーストバスターズ 、メン・イン・ブラックなどがある。
また邦画にはサマータイムマシン・ブルースなどがある。
(SFコメディ映画のカテゴリを参照)
アニメ・漫画
日本はこのジャンルに多くの作品を生み出しており、ドラえもん、うる星やつらなどは、その代表といえる。
脚注
- ^ “Comedy Science Fiction”. Sfbook.com. 2016年3月4日時点のオリジナルよりアーカイブ。2016年3月2日閲覧。
- ^ “Jo Kent saves cult hg2g game from scrapheap”. 2014年3月16日時点のオリジナルよりアーカイブ。2014年6月24日閲覧。
- ^ “The Hitchhiker's Guide to the Galaxy”. Douglasadams.com. 2014年6月24日閲覧。
- ^ Gaiman, Neil (2003). Don't Panic: Douglas Adams and the "Hitchhiker's Guide to the Galaxy". Titan Books. pp. 144–145. ISBN 1-84023-742-2
- ^ Simpson, M. J. (2005). The Pocket Essential Hitchhiker's Guide (Second ed.). Pocket Essentials. p. 120. ISBN 1-904048-46-3
- ^ “The Ultimate Reference Guide to British Popular Culture”. Oxford Royale. (2016年11月23日)
- ^ Moody, Nickianne (2016). Matthews, Nicole. ed. Judging a Book by Its Cover: Fans, Publishers, Designers, and the Marketing of Fiction. Routledge. ISBN 9781351924672 2018年4月28日閲覧. "Pratchett was associated with irreverent and comic writing which is an established sub genre in science fiction - for example Strata (1982) a parody of Larry Niven's Ringworld[,] a classic science fiction series."
関連項目
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