ジョン・スラデックとは? わかりやすく解説

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ジョン・スラデック

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/06/16 08:39 UTC 版)

ジョン・トマス・スラデック
John Thomas Sladek
ペンネーム ジェイムズ・ヴォー、カサンドラ・ナイ、トム・デミジョン
誕生 (1937-12-15) 1937年12月15日
アメリカ合衆国アイオワ州ウェバリー
死没 (2000-03-10) 2000年3月10日(62歳没)
アメリカ合衆国ミネソタ州
職業 小説家SF作家
ジャンル SF風刺ミステリノンフィクション
文学活動 ニュー・ウェーブ
主な受賞歴 英国SF協会賞
ウィキポータル 文学
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ジョン・トマス・スラデックJohn Thomas Sladek1937年12月15日 - 2000年3月10日)はアメリカ合衆国小説家SF作家推理作家風刺的かつ遊戯的、そしてシュールリアリスティックな作風で知られる。アイオワ州ウェバリー出身。

概要

ミネソタ大学で英文学と機械工学を学ぶ。モロッコ、スペイン、オーストリアなどに滞在しながらSFの創作を行い、1957年にトマス・M・ディッシュとともにイギリスに移住する[1]

1960年代にイギリスにて、ニュー・ウェーブ運動に加わる。自己複製マシンの暴走を描いた処女作は、ロンドンGollanczよりThe Reproductive Systemのタイトルで、アメリカではMechasmのタイトルで出版された。The Müller-Fokker Effectでは、人間の個性のテープへの移植実験の失敗によって、過剰な商業取引、宗教、愛国心、そして雑誌の風刺を行う。『ロデリック』、Roderick at Randomでは伝統的な風刺の手段、無原罪の第三者、この場合ロボット、の視点を利用している。『チク・タク・チク・タク・チク・タク・チク・タク・チク・タク・チク・タク・チク・タク・チク・タク・チク・タク・チク・タク』や『遊星よりの昆虫軍X』においては更に暗く、ロボット工学三原則を欠いたソシオパスのロボットや、薄幸なテクニカルライター[2]に造られ、早々に狂気に陥るロボットを用いている。

またスラデックはアイザック・アシモフアーサー・C・クラークコードウェイナー・スミスJ・G・バラードレイ・ブラッドベリなどのSF作家のパロディー短編でも知られる。

また厳格な唯物論者でもあり、ノンフィクションThe New Apocryphaにおいて疑似科学オカルトを容赦のない批判に晒している。ジェイムズ・ヴォーのペンネームでArachne Risingを著し、科学の成立により弾圧隠蔽されたとする13番目のサインに関するノンフィクションと偽った記事を、人々が信じるかどうかの検証を行った。

さらに友人であるトマス・M・ディッシュと共に、カサンドラ・ナイ名義でゴシック・ロマンThe House that Fear Builtを、トム・デミジョン名義で風刺的ミステリ『黒いアリス』を著す。

本格ミステリ作家でもあり、1972年に短篇「見えざる手によって」がミステリ・コンテスト(ロンドン・タイムズジョナサン・ケープが主催)で優勝[3]。「見えざる手によって」にも登場していた[4]、アメリカ人の素人探偵サッカレイ・フィンがイギリスを舞台にして活躍する長編『黒い霊気』『見えないグリーン』などを執筆した。『見えないグリーン』は日本翻訳時に本格ミステリファンから非常に高く評価された。

他に有名なパロディーとして、『恋の骨折り損』に出てくる"Honorificabilitudinitatibus"という孤語hapax legomenon)が、ラテン語のhi ludi, F. Baconis nati, tuiti orbi(「これらの戯曲はF・ベーコンの作りて世に残すものなり」)というアナグラムであるとの反ストラトフォード派の説に対するものがある。スラデックは"Honorificabilitudinitatibus"にI, B. Ionsonii, uurit [writ] a lift'd batch、即ちシェークスピアの作品はベン・ジョンソンによるものであると意味するアナグラムを見いだした。

1986年、スラデックはイギリスからミネソタ州へ戻り、2000年間質性肺炎により死去するまで過ごした。

作品リスト

SF長編

  • The Reproductive System (Mechasm) (1968)
  • The Müller-Fokker Effect (1970)
  • Roderick (1980)
  • Roderick at Random (1983)
  • Tik-Tok (1983) - 1983年英国SF協会賞受賞、『SFが読みたい! 2024年度版』海外部門一位。
    • 鯨井久志 訳『チク・タク・チク・タク・チク・タク・チク・タク・チク・タク・チク・タク・チク・タク・チク・タク・チク・タク・チク・タク』竹書房〈竹書房文庫〉、2023年8月。 ISBN 978-4801936676 
  • Bugs (1989)

短篇集

  • The Steam-Driven Boy (1973)
  • Keep the Giraffe Burning (1977)
  • Alien Accounts (1982)
  • The Lunatics of Terra (1984)
  • Maps: The Uncollected John Sladek (2002) - デイヴィッド・ラングフォード編
  • 蒸気駆動の少年(日本オリジナル、柳下毅一郎編、河出書房新社〈奇想コレクション〉、2008年。 ISBN 978-4309622019

ミステリー

  • The House that Fear Built (1966) - カサンドラ・ナイ名義、トマス・M・ディッシュと共作
  • Black Alice (1968) - トム・デミジョン名義、トマス・M・ディッシュと共作
  • Black Aura (1974)
  • Invisible Green (1977)
  • The Book of Clues (1984)

ノンフィクション

  • The New Apocrypha (1973)
  • Arachne Rising (1977) - ジェイムズ・ヴォー名義
  • The Cosmic Factor (1978) - ジェイムズ・ヴォー名義

脚注

  1. ^ 『黒い霊気』(ハヤカワ・ミステリ)訳者解説(風見潤)P.234
  2. ^ スラデックは数年間テクニカルライターの仕事をしていた。
  3. ^ 『黒い霊気』(ハヤカワ・ミステリ)訳者解説(風見潤)P.234
  4. ^ 『黒い霊気』(ハヤカワ・ミステリ)訳者解説(風見潤)P.234

参考文献

  • Stephensen-Payne, Phil; Drumm, Chris (1998). John T. Sladek Steam-Driven Satirist. Galactic Central Bibliographies for the Avid Reader. ISBN 1871133505 

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