SD60Mとは? わかりやすく解説

EMD SD60シリーズディーゼル機関車

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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2016/12/31 06:27 UTC 版)

EMD SD60シリーズ
基本情報
製造所 GM-EMD
製造年 1984年 - 1995年
製造数 1,140両(シリーズ全体)
主要諸元
軸配置 C-C
軌間 1,435 mm
動力伝達方式 電気式
機関 EMD 710G3A型V型16気筒
出力 3,800馬力(2,800 kW
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EMD SD60は、アメリカGM-EMDが製造した6動軸(C-C)、出力3,800馬力(2,800kW)の電気式ディーゼル機関車である。製造は1984年から1995年まで行われ、総数はバリエーションを含めて1,140両を数える。

解説

SD50とSD60は、競合会社のゼネラル・エレクトリックが開発した3,600馬力のディーゼル機関車、Dash 7のB36-7とC36-7の成功を受け、競合機種として1970年代終盤から1980年代前半にかけて開発された。

1980年に登場したSD50は機器類の信頼性が低く、50シリーズに特徴的な電装品や制御装置の複雑さもあり、セールス的には早々に「失敗作」とされた。程なくして、EMDはSD50の問題点を改善したSD60の開発を開始した。

SD60の外観はSD50の初期車と概ね同一ながら、新たなV型16気筒710-G3ディーゼルエンジンとAR-11型交流発電機を採用し、マイクロプロセッサーにより空転と軸重移動を制御する装置を搭載した。機器類の信頼性向上を図り燃費も向上させたものの、一度初期のSD50が落とした機械部品・電装品の信頼の回復には至らなかった。GM-EMDは、3両のSD60で4両のSD40-2を置き換えることができると主張した。

車種一覧

下記のバリエーションが存在する。

SD60

原型車種。SD40-2等の40シリーズから続くフード・ユニットの形状を採用している。537両製造。

SD60F

通常はフード・ユニット形状であるが、カナディアン・ナショナル鉄道用に、カウル・ユニット形状とし、前面窓を4分割にしたもの。60両製造。

SD60I

SD60I。ショート・フードの幅が車幅いっぱいまで広がっている。またウィスパー・キャブの特徴として運転台を独立させるために、ショート・フードを輪切りにするようにガスケットが見える

ショート・フードの幅を車幅いっぱいに広げ、運転台をウィスパー・キャブとしたもの。ゴムのガスケットを使用することにより、運転台を騒音や振動から遠ざけることができる。同様の運転台は後のSD70I、SD80MAC、SD90MACにも採用された。コンレールのみが発注し、現在はノーフォーク・サザン鉄道CSXトランスポーテーションが所有する。81両製造。

SD60M

SD60Mの初期型車。特徴的な前面3枚窓がよくわかる。
SD60Mの後期型車。前面窓は2枚ガラスになった。

ユニオン・パシフィック鉄道北米セーフティ・キャブとして発注したもの。ショート・フードの幅は車幅いっぱいである。初期に製造された車両は前面窓が3分割とされ、「トリクロップス」(三ツ目)と愛称づけられた。後期に製造された車両はティアドロップ形の2枚窓となり、ショート・フードが若干短くなった。459両製造。

SD60MAC

SD60Mの主電動機を交流モーターとしたものである。4両の試作機がバーリントン・ノーザン鉄道で試用され、GM-EMDの交流発電機・交流主電動機というシステムの可能性が証明されたが、続く受注はすべてSD70MACであった。4両製造。

新製時の所有者

鉄道名 両数 車両番号 備考
SD60
バーリントン・ノーザン鉄道(BN) 3 8300-8302 GM-EMDのデモ車だが、BNの塗装であった。現在はCSXトランスポーテーション(CSXT)。
シカゴ・アンド・ノースウェスタン鉄道(C&NW) 55 8001-8055 スー・ライン鉄道(SOO)仕様。SOOが財政的に購入できなくなったため、C&NWが購入。
コンレール(CR) 25 6843-6867
CSXトランスポーテーション 10 8700-8709
EMDX(GM-EMDのリース会社) 4 1-4 デモ車の1,2,4はCRの6840-6842に。3はEMD 9041の代わりにBNSF鉄道にリース。
カンザス・シティ・サザン鉄道(KCS) 46 714-759
ノーフォーク・サザン鉄道 151 6550-6700
オークウェイ 100 9000-9099 BN(現BNSF)にリース。
スー・ライン鉄道(SOO) 58 6000-6057 SOO 6000-6020はリース業者・キャピタル・ファイナンスに返却。
ユニオン・パシフィック鉄道(UP) 85 6000-6084 UP 2155-2239に改番。UP 6014は事故廃車。
SD60F
カナディアン・ナショナル鉄道(CN) 60 5500-5563 9900-9903はSD60Fの先行量産車。当初はSD50AFとされていた。
SD60I
コンレール 81 5544, 5575-5653
SD60M
バーリントン・ノーザン鉄道 100 1991, 9200-9298 BNSF9200-9299に改番。のち、2007年終盤から2008年はじめにかけてBNSF8100-8199に改番。
コンレール 74 5500-5574
スー・ライン鉄道 5 6058-6062
ユニオン・パシフィック鉄道 281 6085-6365 2240-2399に改番。例外は6106, 6143, 6164, 6244で、事故廃車。

関連項目


SD60M

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EMD SD60シリーズディーゼル機関車」の記事における「SD60M」の解説

ユニオン・パシフィック鉄道北米セーフティ・キャブとして発注したもの。ショート・フードの幅は車幅いっぱいである。初期製造された車両前面窓3分割とされ、「トリクロップス」(三ツ目)と愛称づけられた。後期製造された車両ティアドロップ形の2枚窓となり、ショート・フードが若干短くなった。459製造

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