FPUの数値実験
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/22 02:30 UTC 版)
「フェルミ・パスタ・ウラムの問題」の記事における「FPUの数値実験」の解説
フェルミは、現実の系にエルゴード性を与えるものが格子間の相互作用の非線形性にあると考えた。1950年代、当時の発達してきた電子計算機では、こうした解析の難しい非線形の問題を検証できる可能性があった。そこで、フェルミはパスタ並びにウラムとともに、ロスアラモス研究所の電子計算機 MANIAC I(英語版) で、非線形格子系の計算機実験を行った。彼らの用いたモデルは、両端が固定された最大 64 個の質点からなる 1 次元の格子系であり、2 次または 3 次の相互作用項を持つものであった。当初の予想では、非線形相互作用により、初期状態として与えた最低次のモードから他の高次のモードが励起され、最終的には各モードにエネルギーが等分配される熱化 (thermalization) の過程が生じるはずであった。しかし、数値実験の結果は予想に反し、初期条件として与えた最低次のモードからは、ごく少数の高次モードのみが励起され、一定時間の経過後に初期条件のモードに再帰するという驚くべき結果が観測された。なお、この結果は査読付き論文誌には投稿されず、1954年のフェルミの没後、1955年にロスアラモス研究所の研究報告書の中で報告された。
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