E/Z選択性
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2018/08/03 23:42 UTC 版)
RCM反応では、E型とZ型幾何異性体(英語版)のどちらも形成されうる。立体選択性は触媒や環ひずみ、出発物質のジエンに依存する。より小さな環では、環ひずみの最小化を反映して、より安定な生成物としてZ型異性体が主に得られる。大員環では、E型異性体がZ型異性体と比較してより安定であるため、RCM反応における熱力学的偏りの結果としてE型異性体がしばしば得られる。一般的な傾向として、ルテニウムNHC(英語版)(N-ヘテロ環状カルベン)触媒はE選択性を好み、トランス異性体を形成する。これは部分的には置換基間の立体衝突による。置換基はメタラシクロブタン中間体においてより安定な配座としてトランス配座をとり、その結果E型異性体が形成される。立体的に純粋なZ型異性体の合成は閉環アルキンメタセシスによって以前に達成された。しかしながら、2013年にグラブスはキレート型ルテニウム触媒を使用した高選択的Z-マクロサイクルの合成について報告した。この選択性は、触媒配位子と形成されるメタラシクロブタン中間体との間の立体衝突が増大したことによるものである。遷移状態における増大した立体的相互作用はE型ではなくZ型オレフィンの形成につながる。これは、E型異性体を形成するために必要な遷移状態が大変不利なためである。
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