ヤマタニシ科とは? わかりやすく解説

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ヤマタニシ科

(Cyclophoridae から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/06/03 01:21 UTC 版)

ヤマタニシ科
生息年代: Paleocene–現世
[1]
ヤエヤマヤマタニシ 石垣島産
分類
: 動物Animalia
: 軟体動物門 Mollusca
: 腹足綱 Gastropoda
亜綱 : 新生腹足類 Caenogastropoda
: 原始紐舌類 Architaenioglossa[2]
上科 : ヤマタニシ上科 Cyclophoroidea
: ヤマタニシ科 Cyclophoridae (Gray, 1847)[3]

ヤマタニシ科 Cyclophoridae[4]は、東南アジアなど温暖な地域の陸上に棲む巻貝である[5]カタツムリとは体の構造が異なり、淡水に棲むタニシ科や、淡水性と海水性の両方を含むオニノツノガイ上科その他多数の海に棲む巻貝類と同様に、蓋つきで雌雄の別があり歯舌は紐舌型で、新生腹足類 Caenogastropodaに分類される[6][7]カタツムリとの主な相違点を下表に示した[8]。メスはオスと交尾して卵を育て、産卵する。卵からは直接稚貝が孵化する。卵や稚貝が海流に乗って拡散する可能性は低く、同じ種でも地域による差が認められる[9]。落葉の下や葉の裏側などに生息する[10]。 

表  ヤマタニシとカタツムリのちがい[8][11]
特徴 ヤマタニシ カタツムリ
丸い蓋をもつ 蓋は無い
触角 1対 大小2対
眼の位置 触角のつけね 触角の先
雌雄の別 雌雄異体 雌雄同体
呼吸 外套膜腔、空気呼吸 肺、空気呼吸
粒状 ひも状

なお、ヤマキサゴ科はアマオブネガイ目に属し、蓋はしずくのような形である[12][13]

種類

主な属と種を以下に示す[6]

以下はCyclophorini族:

以下はCyclotini族:

    • Cyclotus Swainson, 1840 アツブタガイ属;アツブタガイ。殻径14mm, 褐色, 厚い蓋をもつ[14]
    • Nakadaella Ancey, 1904 ミジンヤマタニシ属;ミジンヤマタニシ。殻径約2mm[14]

  (注) Spirostomaヤマクルマガイ属は近年ヤマクルマガイ科Spirostomatidaeに分類されるようになった。殻は平巻きで蓋は円錐形に外側へ突き出す[15]。  
  以下にヤマタニシ科を含むクラドグラムの概要の一例を示す[16][17]

古腹足類から分岐
Heterobranchia 異鰓類

Opisthobranchia 後鰓類(ウミウシアメフラシ

Pulmonata 有肺類(カタツムリナメクジ

Caenogastropoda 新生腹足類
 ヤマタニシ上科 

Neocyclotidae(中南米のヤマタニシ、陸生)Aperostoma

Pupinidae アズキガイ科

Diplommatinidae ゴマガイ科

ヤマタニシ科

Alycaeus サンショウムシオイ

Chamalycaeus ムシオイガイ

Cyclophorus ヤマタニシ

Cyclotus アツブタガイ

Megalomastomatidae インゲンガイ科

Ampullariidae リンゴガイ科(南米のタニシ、淡水性)

Viviparidae タニシ科(淡水性、卵胎生)

Cerithioidea オニノツノガイ上科(淡水性、海水性)

古腹足類をのぞく多くの海水性の巻貝類

人との関係

奄美群島沖縄諸島縄文時代の遺跡でヤマタニシが見つかっている。徳之島の面縄(おもなわ)貝塚では農耕生活の導入にともない居住区域が上昇したことと関係があると考えられている[18]

脚注

出典

  1. ^ 平野ら 2019.
  2. ^ 佐々木 2010, p. 70.
  3. ^ Cyclophoridae”. WoRMS. 2021年8月9日閲覧。
  4. ^ 佐々木 2010, p. 71.
  5. ^ Cyclophoridae”. GBIF. 2023年3月12日閲覧。
  6. ^ a b 湊宏 2004, p. 66-67.
  7. ^ 佐々木 2010, p. 299.
  8. ^ a b カタツムリ展2012児嶋格”. 貝塚市立自然遊学館. 2021年8月9日閲覧。
  9. ^ 久保ら 2021, p. 47.
  10. ^ 沖縄の陸産貝類”. カエル商会. 2021年8月9日閲覧。
  11. ^ a b 武田 & 西 2015, p. 34.
  12. ^ 波部 & 小菅 1967, p. 22.
  13. ^ 佐々木 2010, p. 67.
  14. ^ a b c 武田 & 西 2015, p. 36.
  15. ^ 湊宏 2004, p. 68.
  16. ^ 平野ら 2019, p. 3.
  17. ^ Simone 2011, p. 213,267.
  18. ^ 新里 2016, p. 112.

参考文献

 




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