セタン価
ディーゼルエンジンでは、燃料は燃焼室内の高温の圧縮空気に噴射され、自己着火により燃焼するので、着火遅れを最小限に制御する必要がある。着火遅れは燃料噴射から自発点火温度に達するまでの時間と、その後、自発点火するまでの時間に分けられ、前者を物理的遅れ、後者を化学的遅れと呼ぶ。化学的遅れはセタン価(CN)で表される燃料の着火性に支配される。セタン価は燃料の着火性を表す目安であり、セタン価が高いほど燃料の自己着火性がよい。
参照 セタン指数セタン価
【英】: cetane number
ディーゼル・エンジン用燃料の着火性を示す数値で、一定の条件でエンジン試験を行ったとき、試料と同一の着火性を示すようなセタン(セタン価 100)とα-メチルナフタレン(セタン価 0 )との混合物中のセタンの容量%をいう。 ただし、最近はα-メチルナフタレンの代わりにヘプタメチルノナン(セタン価 15 )を用いて試験を行い、次式でセタン価を求めている。セタン価=セタンの容量(%)+ヘプタメチルノナンの容量(%)× 0.15 ディーゼル・エンジンでは、燃料を高圧縮空気中に噴射して自然着火させるので、着火性の大小が問題となる。高速ディーゼル・エンジンでは、セタン価が 40 ~ 60 のものが要求される。試験方法は、日本工業規格(JIS)の K2280 (オクタン価およびセタン価試験方法)に規定されている。なお、セタン価の推定には、セタン指数(計算セタン指数)がよく用いられている。これは API 比重( API 度)または密度( 15 ℃、g/ml)と平均沸点( 50 %留出温度)とから計算によって求めるもので、計算式は JIS K2204(軽油)や ASTM D976 にあり、ASTM には式以外に計算図表もついている。セタン指数は、セタン価が 30 ~ 60 の油では 土2 以内の誤差で実測セタン価と合うといわれるが、合成燃料やセタン価向上剤入りの製品などには適用できない。 |

セタン価
(Cetane number から転送)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/18 06:14 UTC 版)
ナビゲーションに移動 検索に移動セタン価(Cetane number)とは、軽油のディーゼルエンジン内での自己着火のしやすさ、ディーゼルノックの起こりにくさ(耐ノック性・アンチノック性)を示す数値であり、軽油の着火性を表す[1][2]。15〜100の値をとり、セタン価が高いほど自己着火しやすく[2]、ディーゼルノックが起こりにくい。ガソリンにおけるオクタン価に相当する数値である。セタン価60はオクタン価0に、セタン価0はオクタン価100に相当する[2](なお、値の増減が反対なのはディーゼルエンジンのディーゼルノックは燃料が着火しにくいことによって起きるのに対し、ガソリンエンジンのスパークノックは燃料が着火しやすいことによって起こるためである)。
軽油成分中で耐ノック性が比較的高いn-セタン(現在のヘキサデカン、C16H34 のセタン価を100、耐ノック性が低いイソセタン(2,2,4,4,6,8,8-ヘプタメチルノナン、CH3-C(CH3)2-CH2-C(CH3)2-CH2-CH(CH3)-CH2-C(CH3) のセタン価を15とし、試料の軽油と同一の耐ノック性を示すようなセタンとイソセタンとの混合物中に含まれるセタンの割合(容量比)を、その試料のセタン価とする。
一般に自動車用としては50〜55程度である。ニトロ化合物を添加してセタン価を上げた軽油は、「プレミアム軽油」と呼ばれている。また、JISの軽油の規格であるセタン指数とほぼ等しい。
脚注
外部リンク
- セタン価 石油学会
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