COX-2選択的阻害薬による血栓症のリスク増加
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/13 00:40 UTC 版)
「シクロオキシゲナーゼ」の記事における「COX-2選択的阻害薬による血栓症のリスク増加」の解説
炎症性疾患などに対する薬物治療にアスピリンなどのCOX阻害薬を用いるとプロスタグランジンの産生を抑制することから炎症反応を抑えることができるが、一方で副作用としての胃潰瘍がしばしば問題となる。これは構成型COXによって産生されるPGE2が胃粘膜の血流を増加させ、粘膜を保護する役割を担っているからである。エトドラク(ハイペン錠)、メロキシカム(モービック錠)、セレコキシブ(セレコックス錠)等のCOX-2選択的な阻害薬はCOX-1に対してほとんど阻害作用を示さず、炎症組織に発現しているCOX-2の活性のみを抑制するため副作用が小さいと考えられ、臨床試験が行われてきた。しかし、結果は血栓症のリスクを高めるだけだった。これは、COX-2が血管拡張作用があり血小板凝集を防ぐプロスタサイクリン(PGI2)を阻害しながら、COX-1が触媒し血管収縮・血小板凝集をおこすトロンボキサンA2(TxA2)産生を阻害しなかったことに起因すると考えられている。なお、セレコキシブは心血管イベントを増大させるという報告があり、米国では同じ報告があったロフェコキシブが発売中止となっている。
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