CJK統合漢字への収録
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/07 17:23 UTC 版)
安岡ら (1997) は、ISO/IEC 10646およびUnicodeのCJK統合漢字に、中華人民共和国のコードブックである『標準電碼本』の1983年の版から収録された漢字があることを明らかにした。 安岡らによると、『標準電碼本』の1983年の版に含まれながらGB 2312-80などの既存の国内規格に含まれない漢字が58文字あった。それにもかかわらず、最初にCJK統合漢字を編纂するにあたっては、各国の当時の国内規格に含まれる漢字にかぎって収録することが、中国、日本および韓国の間の合意となった。そこで、中華人民共和国は、その58文字が既存の国内規格に含まれていたことにして、CJK統合漢字への収録を達成した。 それらの漢字のなかには、異体字の整理や簡化字の採用といった中華人民共和国の言語政策を『標準電碼本』が不十分に反映してきたことに由来すると思われる漢字が見られる。 中華人民共和国では、1955年の『第一批異体字整理表』によって一部の異体字の使用停止が決められた。電碼6067の「託」と電碼2094の「托」とは、たがいに異体字の関係であるとされ、今後もっぱら「托」を用い、「託」は使わないこととなった。それにもかかわらず、『標準電碼本』は「託」にコードを与えつづけた。そして、『標準電碼本』の1983年の改訂において、電碼6067の漢字は「託」から「讬」に変更された。 この「讬」は、正式には存在しないはずの漢字と推測される。たしかに、1964年の『簡化字総表』によれば、言偏を規則的に「讠」に置き換え、したがって「記」は「记」に、「話」は「话」にする。しかし、簡化字の正式な採用は異体字の整理の後におこなわれたことであるので、簡化字の正式な採用のときまでに、「託」は「托」と書かれるようになっているはずであり、「託」の「讬」という簡化は正式にはあり得ないはずである。 ただし、『第一批異体字整理表』は、既存の商号や人の姓には異体字の整理を及ぼさなくてよいとしている。針谷 (2005) は『第一批異体字整理表』の電子版を提供している。
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