Akt/PKB経路
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/06 16:17 UTC 版)
インスリン様成長因子は、受容体型チロシンキナーゼ-Akt/PKBシグナル伝達経路を介してmTORC1を活性化する。最終的に、AktはTSC2のセリン939番、セリン981番、スレオニン1462番をリン酸化する。これらのリン酸化部位は細胞質基質のタンパク質14-3-3をTSC2にリクルートし、TSC1/TSC2二量体を破壊する。TSC2はTSC1に結合していない場合にはそのGAP活性を失い、Rheb-GTPを加水分解することができなくなる。その結果、mTORC1の活性化が継続され、インスリンシグナルを介したタンパク質合成が行われることとなる。 AktはPRAS40もリン酸化し、mTORC1上に位置するRaptorからの離脱を引き起こす。PRAS40はRaptorによる4E-BP1(英語版)やS6K1(英語版)といったmTORC1の基質のリクルートを防ぐため、PRAS40が除去されることでこれらの基質はmTORC1へリクルートされ、活性化される。 さらに、インスリンは血中グルコースの上昇に伴って膵臓のβ細胞から分泌される因子であるため、そのシグナルはタンパク質合成のエネルギーが保証されていることを意味している。mTORC1シグナルに対するネガティブフィードバックループとして、S6K1はインスリン受容体をリン酸化し、インスリンに対する感受性を阻害する。このことは、インスリン抵抗性に起因する糖尿病と深く関係している。
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