2012年ロンドンオリンピックの陸上競技・女子マラソンとは? わかりやすく解説

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2012年ロンドンオリンピックの陸上競技・女子マラソン

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/14 04:54 UTC 版)

2012年ロンドンオリンピック
女子マラソン

優勝者ティキ・ゲラナ(左端の緑のユニフォームの選手)を含むマラソンランナーの集団
会場 2012年マラソンコースコース図
開催日 2012年8月5日
参加選手数 67か国 118人
スコア 2:23:07 (オリンピック記録)
メダリスト
    エチオピア
    ケニア
    ロシア
« 2008 北京 2016 リオデジャネイロ »

2012年ロンドンオリンピックの陸上競技・女子マラソン(2012ねんロンドンオリンピックのりくじょうきょうぎ じょしマラソン)は、イギリスロンドンで8月5日にオリンピックマラソンストリートコースにて開催された[1]

概要

コースのスタートとゴールはロンドン中心部のザ・マルであった。選手はシティ・オブ・ウェストミンスター周辺の2.219マイル(≒3.5711km)の短いコースを突破し、8マイル(≒12.875 km)のウェストミンスター、ヴィクトリア・エンバンクメント(Victoria Embankment)、シティ・オブ・ロンドン周辺のコースを通る。コースはバッキンガム宮殿トラファルガー広場セント・ポール大聖堂、ギルドホール(Guildhall)、レドンホール・マーケット、ザ・モニュメント(the Monument)、ロンドン塔ウェストミンスター宮殿など多くのロンドンの名所を通るように設計されていた[2]

エチオピアのティキ・ゲラナは2時間23分7秒のオリンピック記録でコースを突破し、金メダルを獲得した。ケニアのプリスカ・ジェプトゥーが銀メダル、ロシアタチアナ・ペトロワ=アルヒポワ銅メダルを獲得した。

しかし、ロンドン五輪・女子マラソン開催より3年経過後の2015年11月、ウクライナ陸連は当初5着だったタチアナ・ガメラの血液データを蓄積し変化を調べる「生体パスポート」の検査で異常値を示した為、ガメラをドーピング違反と判定。ガメラの当五輪5位入賞の着順・ウクライナ記録をそれぞれ取り消した為、当初6位以下だった同五輪・女子マラソン完走選手の着順が1つずつ繰り上がった[3]

記録

オリンピック開催前の開催前の世界記録およびオリンピック記録は以下の通りである。

世界記録  ポーラ・ラドクリフ (GBR) 2:15:25 イギリス・ロンドン 2003年4月13日
オリンピック記録  高橋尚子 (JPN) 2:23:14 オーストラリアシドニー 2000年9月24日
2012年世界最高記録  メアリー・ケイタニー(Mary Keitany) (KEN) 2:18:37 イギリス・ロンドン 2012年4月22日

本大会において、以下の記録が更新された。

種別 選手 記録 備考
8月5日 決勝  ティキ・ゲラナ (ETH) 2:23:07 オリンピック記録

競技日程

すべての時刻は英国夏時間UTC+1)による。

開始時刻
2012年8月5日日曜日 11:00 決勝

競技ハイライト

雨の中でスタートし、序盤は積極的な走りを見せる選手はいなかった。その代わり、通りを壁のようにふさぎながら大集団でコースを進んでいった。大集団は12km付近から次第に小さくなり始め、ヴァレリア・ストラーネオが前に出てきた。その数キロ後、雨が上がったところで朱暁琳(Xiaolin Zhu)がペースを上げ、マラソンの中間地点を1時間13分13秒で通過した。

朱が中間地点を通過した少し後、ティキ・ゲラナは給水所を通り抜けようとしてペースを落とした。その間に先頭集団は3人のケニア選手がペースを作り始めた。ゲラナはその後集団に追いついた。ペースは再度落ちたが、消耗戦は続いた。28kmまでは、先頭集団を引っ張っていたのは、3人のケニア選手とゲラナ、マレ・ディババ(Mare Dibaba)の2人のエチオピア選手、常に外側を走り続けたプリスカ・ジェプトゥー(Priscah Jeptoo)だった。最初に集団から飛び出したのはディババだった。一方、経験の浅いタチアナ・ペトロワ=アルヒポワは自分のペースで走り、先頭集団から遅れた選手を追い抜いて行った。ペトロワは32kmくらいで先頭集団に追い付いた。ちょうどその頃、2011年世界陸上の覇者エドナ・キプラガトは先頭から1kmほど後退していた。

35kmの給水所でペトロワは加速しキプラガトを抜き去った。残り1,500mでメアリー・ケイタニーは4位に後退した。時を同じくしてゲラナは加速し、まずはペトロワをとらえ、次にジェプトゥーを抜き、トップに立った。ゲラナはオリンピック記録を7秒上回るタイムでゴールした。

日本女子代表選手は、木崎良子尾崎好美重友梨佐の3人が出場。レース前半は先頭集団に着けたものの、本番前から右足首を痛めていた重友が18Km辺りで脱落。中間点を過ぎた24Km付近で木崎が遅れ初め、その後間もなく25Km手前で尾崎も先頭集団のペースアップについていけず後退。最終的に日本勢は木崎の15位が最高順位であり、前回の北京オリンピックと2大会連続で入賞を逃した[4]

結果

  • 2012年7月27日現在の出場予定者[5]
WR 世界記録 | AR エリア記録 | CR 選手権記録 | GR 大会記録 | NR 国家記録 | OR オリンピック記録 | PB 自己ベスト | SB シーズンベスト | WL 世界最高(当該シーズン中)
| DNF 途中棄権
順位 選手 国籍 記録 備考
ティキ・ゲラナ エチオピア 2:23:07 OR
プリスカ・ジェプトゥー ケニア 2:23:12
タチアナ・ペトロワ=アルヒポワ ロシア 2:23:29 PB
4 メアリー・ケイタニー ケニア 2:23:56
取消 タチアナ・ガメラ[6] ウクライナ 2:24:32 NR
5 朱暁琳 中国 2:24:48
6 ジェシカ・アウグスト(Jéssica Augusto ポルトガル 2:25:11
7 バレリア・ストラーネオ イタリア 2:25:27
8 アルビナ・マヨロワ (Albina Mayorova) ロシア 2:25:38
9 シャレーン・フラナガン アメリカ合衆国 2:25:51
10 カラ・ガウチャー (Kara Goucher) アメリカ合衆国 2:26:07
11 Helalia Johannes ナミビア 2:26:09 NR
12 マリーザ・バロス ポルトガル 2:26:13
13 イリーナ・ミキテンコ ドイツ 2:26:44
14 キンバリー・スミス (Kimberley Smith) ニュージーランド 2:26:59
15 木崎良子 日本 2:27:16
16 Lisa Jane Weightman オーストラリア 2:27:32 PB
17 Isabellah Andersson スウェーデン 2:27:36
18 尾崎好美 日本 2:27:43
19 エドナ・キプラガト ケニア 2:27:52
20 Ana Dulce Félix ポルトガル 2:28:12
21 王雪芹(Wang Xueqin 中国 2:28:21
22 マレ・ディババ エチオピア 2:28:48
23 Hilda Kibet オランダ 2:28:52
24 Inés Melchor ペルー 2:28:54 NR
25 Alessandra Aguilar スペイン 2:29:19
26 Rasa Drazdauskaitė リトアニア 2:29:29 PB
27 Diana Lobačevskė リトアニア 2:29:32 PB
28 Anna Incerti イタリア 2:29:38
29 Rosaria Console イタリア 2:30:09
30 Diane Nukuri ブルンジ 2:30:13 NR
31 Susanne Hahn ドイツ 2:30:22
32 Nastassia Staravoitava ベラルーシ 2:30:25
33 Sviatlana Kouhan ベラルーシ 2:30:26
34 René Kalmer 南アフリカ 2:30:51
35 Karolina Jarzyńska ポーランド 2:30:57
36 Souad Aït Salem アルジェリア 2:31:15
37 Beata Naigambo ナミビア 2:31:16
38 Jessica Trengove オーストラリア 2:31:17
39 Jessica Draskau-Petersson デンマーク 2:31:43 PB
40 정 윤희(Chung Yun-Hee 韓国 2:31:58
41 アセレフェチュ・メルギア エチオピア 2:32:03
42 Gladys Tejeda ペルー 2:32:07 PB
43 Freya Murray イギリス 2:32:14
44 リディア・シモン ルーマニア 2:32:46 SB
45 Marisol Romero メキシコ 2:33:08
46 Adriana Aparecida da Silva ブラジル 2:33:15
47 Olena Burkovska ウクライナ 2:33:26
48 キム・クムオク(Kim Kum-ok 北朝鮮 2:33:30
49 Karina Pérez メキシコ 2:33:30
50 Erika Abril コロンビア 2:33:33 NR
51 Lisa Stublić クロアチア 2:34:03
52 Maja Neuenschwander スイス 2:34:50
53 Andrea Mayr オーストリア 2:34:51
54 Wilma Arizapana ペルー 2:35:09
55 Jon Kyong-Hui 北朝鮮 2:35:17
56 Claire Hallissey イギリス 2:35:39
57 王佳麗(Wang Jiali 中国 2:35:46
58 Rehaset Mehari エリトリア 2:35:49
59 Iuliia Andreeva キルギス 2:36:01
60 María Elena Espeso スペイン 2:36:12
61 Lishan Dula バーレーン 2:36:20
62 Bahar Doğan トルコ 2:36:35
63 Érika Olivera チリ 2:36:41 SB
64 Natalia Cerches モルドバ 2:37:13 PB
65 Linda Byrne アイルランド 2:37:13
66 Ivana Sekyrová チェコ 2:37:14
67 Ava Hutchinson アイルランド 2:37:17
68 Natalia Romero チリ 2:37:47
69 Dailín Belmonte キューバ 2:38:08 PB
70 Ana Subotić セルビア 2:38:22
71 Sultan Haydar トルコ 2:38:26
72 Samira Raif モロッコ 2:38:31 SB
73 Kim Mi-Gyong 北朝鮮 2:38:33
74 Remalda Kergytė リトアニア 2:39:01
75 Lim Kyung-Hee 韓国 2:39:03
76 Slađana Perunović モンテネグロ 2:39:07 NR
77 Olga Dubovskaya ベラルーシ 2:39:12
78 重友梨佐 日本 2:40:06
79 Amira Ben Amor チュニジア 2:40:13 NR
80 Tanith Maxwell 南アフリカ 2:40:27
81 María Peralta アルゼンチン 2:40:50
82 Rosa Chacha エクアドル 2:40:57 SB
83 Triyaningsih インドネシア 2:41:15
84 Beata Rakonczai ハンガリー 2:41:20
85 コンスタンティナ・ディタ ルーマニア 2:41:34
86 Leena Puotiniemi フィンランド 2:42:01
87 Žana Jereb スロベニア 2:42:50
88 Ümmü Kiraz トルコ 2:43:07
89 Mamorallo Tjoka レソト 2:43:15 SB
90 Gabriela Traña コスタリカ 2:43:17
91 Zsofia Erdelyi ハンガリー 2:44:45
92 Jane Suuto ウガンダ 2:44:46
93 Yolimar Pineda ベネズエラ 2:45:16
94 Anikó Kálovics ハンガリー 2:45:55
95 Kim Seongeun 韓国 2:46:38
96 Vanessa Veiga スペイン 2:46:53
97 Dace Lina ラトビア 2:47:47
98 Katarína Berešová スロバキア 2:48:11
99 Benita Willis オーストラリア 2:49:38
100 Claudette Mukasakindi ルワンダ 2:51:07
101 Luvsanlkhündegiin Otgonbayar モンゴル 2:52:15
102 Evelin Talts エストニア 2:54:15
103 Konstadina Kefala ギリシャ 3:01:18
104 Ni Lar San ミャンマー 3:04:27
105 Juventina Napoleão 東ティモール 3:05:07 PB
106 Caitriona Jennings アイルランド 3:22:11
Lucia Kimani ボスニア・ヘルツェゴビナ DNF
リリア・ショブホワ ロシア DNF
Desiree Davila アメリカ合衆国 DNF
マーラ・ヤマウチ イギリス DNF
Tetyana Filonyuk ウクライナ DNF
Olivera Jevtić セルビア DNF
Soumiya Labani モロッコ DNF
Sharon Tavengwa ジンバブエ DNF
Lornah Kiplagat オランダ DNF
Yolanda Caballero コロンビア DNF
Irvette van Blerk 南アフリカ DNF

脚注

  1. ^ Athletics at the 2012 Summer Olympics”. Official site of the London 2012 Olympic and Paralympic Games. 2012年10月28日閲覧。
  2. ^ London Olympic Games 2012 Marathon Route”. Official site of the London 2012 Olympic and Paralympic Games. 2012年10月28日閲覧。
  3. ^ ガメラ、大阪国際女子マラソン3連覇など抹消へ ドーピング違反で4年間出場停止(産経WEST)
  4. ^ 【女子マラソン】日本勢、2大会連続で入賞逃す 「金」はゲラナ” (日本語). MSN産経ニュース (2012年8月5日). 2012年10月29日時点のオリジナルよりアーカイブ。2012年10月29日閲覧。
  5. ^ Entry List by Event”. IAAF (2012年7月27日). 2012年10月29日閲覧。
  6. ^ ドーピング違反により当初5着だったガメラの順位・記録を取り消し



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