(612243) 2001 QR322とは? わかりやすく解説

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(612243) 2001 QR322

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/10/19 14:01 UTC 版)

(612243) 2001 QR322
(612243) 2001 QR322 の軌道
小惑星番号 612243
見かけの等級 (mv) 22.5[1]
分類 太陽系外縁天体[2]
発見
発見日 2001年8月21日[2]
発見者 Deep Ecliptic Survey
発見場所 セロ・トロロ汎米天文台
軌道要素と性質
元期:TDB 2,460,600.5(2024年10月17.0日[2]
軌道長半径 (a) 30.439 au[2]
近日点距離 (q) 29.590 au[2]
遠日点距離 (Q) 31.289 au[2]
離心率 (e) 0.028[2]
公転周期 (P) 61,341.506 [2]
(167.944 [2]
平均軌道速度 0.00587 °/日[2]
軌道傾斜角 (i) 1.323°[2]
近日点引数 (ω) 172.290°[2]
昇交点黄経 (Ω) 151.535°[2]
平均近点角 (M) 81.104°[2]
前回近日点通過 TDB 2,446,780.979[2]
1986年12月16日
次回近日点通過 TDB 2,508,122.484
2154年11月26日
物理的性質
直径 132 km[3]
絶対等級 (H) 8.10[2]
アルベド(反射能) 0.058[3]
Template (ノート 解説) ■Project

(612243) 2001 QR322 は、2001年Deep Ecliptic Survey英語版による観測で発見された太陽系外縁天体である[2]。以前は海王星に先行するL4ラグランジュ点に存在する、力学的に安定したトロヤ群小惑星であるとされていたが[4]、現在では海王星のトロヤ群小惑星とは見做されていない[5]2022年3月28日小惑星センター (MPC) が発行した小惑星回報「M.P.C. 139893」にて小惑星番号612,243番が付与された[6]

地球から見た時の視等級が22.5等級であることを基にすると直径は 140 km となるが[1]、宇宙物理学者の Robert Johnston はボンドアルベドを 0.058 として、直径を 132 km としている[3]。海王星のトロヤ群小惑星として現在認められている太陽系外縁天体は全て (612243) 2001 QR322 より後に発見されたもので、カーネギー研究所のスコット・S・シェパードチャドウィック・トルヒージョによると海王星は木星の20倍以上のトロヤ群小惑星を持つ可能性があるとされる[7]

力学的安定性

力学的安定性に関する初期の研究では、限られた観測弧(Observation arc)から求められたわずか数個の軌道要素の不確定要素に広がる少数のテスト粒子を利用しており、多くのテスト粒子が50億年の間に渡ってトロヤ軌道に維持されているため、(612243) 2001 QR322 は非常に安定した軌道にあるとされた。その後、海王星トロヤ群の安定性は単純に想定された[4]

より近年の研究では、長い観測弧から導かれた6個の軌道要素で不確定要素 3σ の範囲に広がる数多いテスト粒子が利用されており、以前考えられていたよりもはるかに安定性が低いと見積もられ、想定されたテスト粒子は指数関数的に海王星のトロヤ群小惑星の軌道から逸脱していき、5億5300万年でその半分が失われると計算されている[4]。更なる観測で (612243) 2001 QR322 の軌道が安定した状態にあるか不安定な状態にあるかの判断に繋がるとされていたが[4]2016年に (612243) 2001 QR322 の軌道の安定性を分析した結果、海王星のトロヤ群小惑星として力学的には安定する領域と不安定になる領域の境界付近に位置しているとするプレプリントが公表されている[8]。以前は小惑星センター (MPC) による海王星のトロヤ群小惑星の一覧にも登録されていたが、2024年10月時点では掲載されていない[5]

こうした海王星のトロヤ群小惑星の安定性は太陽からの軌道長半径に強く依存しており、30.30 au 以上で非常に安定している。一方で他の軌道要素への依存は低い[4]。これらの原因は、大きな軌道長半径の場合、秤動が 70° までと大きな振幅を持っており、トロヤ軌道と土星、天王星、海王星の第二共鳴で不安定化しているためである[4]永年共鳴英語版は力学的安定性に貢献していないことが判明している[4]

出典

  1. ^ a b Lakdawalla, Emily (2010年8月13日). “2008 LC15, the first Trojan asteroid discovered in Neptune's L5 point”. The Planetary Society. 2019年12月15日閲覧。
  2. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q JPL Small-Body Database Browser: 612243 (2001 QR322)” (2020-12-09 last obs). 2019年12月15日閲覧。
  3. ^ a b c Johnston, Wm. Robert (2022年1月2日). “List of Known Trans-Neptunian Objects”. Johnston's Archive. 2022年5月2日閲覧。
  4. ^ a b c d e f g Horner, J.; Lykawka, P. S. (June 2010). “2001 QR322: a dynamically unstable Neptune Trojan?” (pdf). Monthly Notices of the Royal Astronomical Society 405 (1): 49–56. arXiv:1002.4699. Bibcode2010MNRAS.405...49H. doi:10.1111/j.1365-2966.2010.16441.x. https://arxiv.org/ftp/arxiv/papers/1002/1002.4699.pdf 2012年3月20日閲覧。. 
  5. ^ a b List Of Neptune Trojans”. Minor Planet Center. 2011年5月8日閲覧。
  6. ^ MPC 138389-139954” (PDF). Minor Planet Center (2022年3月28日). 2022年5月2日閲覧。
  7. ^ Neptune May Have Thousands of Escorts”. Space.com (30 January 2007). 2009年9月4日閲覧。
  8. ^ Horner, Jonathan; Lykawka, Patryk Sofia. "2001 QR322 - an update on Neptune's first unstable Trojan companion". arXiv:1601.00383v1 [astro-ph.EP]。

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