黄道光の正体
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2014/06/08 14:04 UTC 版)
黄道光の光は太陽光と同じ連続スペクトルを示す。よってその正体は隕石、火球と同様の物質、すなわち太陽系内部の地球軌道付近に存在する、主としてセンチメートルからマイクロメートルオーダーの惑星間塵である。この非常に多数の塵が太陽光を散乱し、黄道光として観測される。 黄道光を作り出している黄道面内の塵は比較的大きいため、太陽の輻射圧によって地球軌道のはるか外側に追いやられることはない。黄道光が黄道に沿っているのは、これらの塵がアポロ群・アモール群といった地球近傍小惑星の破片や短周期彗星の大きな固形物に由来するためと考えられる。ただし、これらの破片や固形物は、太陽光エネルギーの吸収散乱に基づく重力以外の小さな力によってその公転軌道が次第に小さくなり、おおむね1億年以内に太陽に落下する為、太陽系が出来た当時から同じ塵の粒子によって構成されているわけではない。逆に言うと、黄道光の存在は、彗星や小惑星などの太陽系小天体からその成分が常に供給され続けている事を証明している。 事実、太陽表面から少し離れた所に、かつてより外側の軌道にあった塵が太陽熱に炙られて蒸発しながら輻射圧で吹き飛ばされて形成されたと考えられる「太陽の環」のような天体も発見されている。よって、黄道光の正確な年齢を推定する研究は現在でも興味深いテーマの一つと言える。
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