高麗版大般若経 (安国寺)とは? わかりやすく解説

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高麗版大般若経 (安国寺)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/12/03 23:56 UTC 版)

安国寺本高麗版大般若経(こうらいばんだいはんにゃきょう)は長崎県壱岐市安国寺に伝わる仏教経典。現存する高麗大般若経の一つ。日本の重要文化財に指定されている。

概要

壱岐安国寺の大般若経は、高麗国 金海府戸長の許珍寿が大願をたて、その祈祷のために600巻を摺写し、西伯寺に寄進されたものだと安国寺で伝えられている。

安国寺本は591帖が重要文化財に指定され、内訳は版木から刷られた高麗初雕本が219帖、日本で補写された写本が372帖となっている。高麗初雕本には契丹の重熙15年(1046年)の奥書を有する[1]1420年長崎県東彼杵郡川棚町の長浜大明神に1部600巻として寄進され、1486年に出羽立石寺の如円坊の献上により、安国寺に持ち込まれている。1975年6月12日重要文化財に指定され、[2]1976年昭和51年)から1977年昭和52年)にかけ948万円をかけて保存修理を行った。(「壱岐国安国寺」より(安国寺発行))。仏教文化史、印刷文化史、日朝交流史などの資料として貴重な文化財である。

盗難

1994年7月23日に493帖が宝物殿から盗まれていることが発覚した[3][4][4]。残りは他の場所で展示しており無事だった。

1995年にしみや汚れ、巻末の署名などが酷似したもの3帖が韓国で「発見」され、韓国の国宝284号に指定された。日本の外務省が1998年に韓国政府に対して調査を依頼したが、個人所有であるとして返還が認められなかった[4]。所有者は、コリアナ化粧品(코리아나화장품)会長で韓国博物館会会長の兪相玉(유상옥、ユ・サンオク)である[4]

盗難の公訴時効は、2001年7月23日に成立している[3][4]

この問題は、2011年4月22日衆議院外務委員会でも取り上げられ、外務大臣は韓国政府に調査を依頼すると答弁[5]。日本の外務省は同月末に、韓国外交通商部に対し、1994年に安国寺から盗まれた「高麗版大般若経」と、2002年鶴林寺から盗まれた「阿弥陀三尊像」について、韓国内流入の事実確認や詳しい経緯の再調査を要請した[6]

なお、対馬の長松寺には安国寺版と同版とみられる高麗版大般若経(紙本、折本装、586帖、高麗初雕版系)があり、2011年6月27日、重要文化財に指定された(長崎県立対馬歴史民俗資料館に寄託)[7]

脚注

[脚注の使い方]
  1. ^ 長崎県の文化財 高麗版大般若経(安国寺)
  2. ^ 昭和50年文部省告示第90号
  3. ^ a b 重文の経典盗難事件が時効・韓国に酷似の国宝 日本経済新聞 2001年7月23日
  4. ^ a b c d e 菅野朋子 【特別リポート】消えた「重要文化財を追え!」壱岐・安国寺の寺宝は「韓国の国宝」になっていた!(週刊新潮 2005年10月13日号)
  5. ^ 盗難の長崎の重文 韓国の国宝と「酷似」 外務省が調査依頼へ MSN産経ニュース(産経新聞)、2011年4月22日
  6. ^ 「盗難文化財の再調査を韓国に要請 外務省」 朝日新聞 2011年5月9日
  7. ^ 文化遺産データベース 高麗版大般若経

関連項目

外部リンク




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