高橋五郎 (翻訳家)とは? わかりやすく解説

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高橋五郎 (翻訳家)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/08/07 03:38 UTC 版)

高橋 五郎(たかはし ごろう、1856年4月24日安政3年3月20日[1][注釈 1] - 1935年9月7日)は、明治時代から昭和初期の翻訳家、啓蒙的英文学者、英語学者、言語学者評論家、教育者である[2][3]

聖書の翻訳や英語教育を行い、立教大学早稲田大学駒澤大学で教授を歴任した[2]

人物・経歴

1856年(安政3年)に越後国柏崎庄屋の家に生まれる[2]。本名は吾良である。1868年、群馬県高崎に行き、竜門寺で市川左近に漢学仏学を学ぶ[2]。1871年より牧野再竜、高崎藩校の田中毛野に学ぶ。

1873年に洋学を学ぶために上京し、緒方塾で緒方惟孝(緒方城次郎、緒方洪庵の三男)に学び[4]植村正久と知り合いになる。1875年(明治8年)に横浜へ行き、植村の紹介でアメリカ・オランダ改革派教会の宣教師S・R・ブラウンブラウン塾で英学と英語、仏語、独語を習った[2][3]

ブラウンより洗礼を受け、1874年(明治7年)以来、ブラウンの元で始められた明治元訳聖書の翻訳の作業を手伝う。1879年(明治12年)にブラウンが帰国すると、J・C・ヘボンの補佐として新旧約聖書の翻訳に貢献した。

また、キリスト教評論家として思想界でも活躍する。『仏教新論』『神道新論』『諸教便覧』を刊行し、比較宗教学によりキリスト教弁証論を論じた。さらに、ヘボンの『和英語林集成』の改訂増補に参加する[4]

1881年(明治14年)、横浜山手居留地47番にアメリカ・オランダ改革派教会が先志学校を設立し、その学校の寄宿生が所属教会の伝道を助けていたが、1884年(明治17年)に横浜海岸教会において、八木紋次郎らの基督教青年会(YMCA)会員が小規模の青年会(横浜YMCA)を組織し、翌1885年(明治18年)に横浜の真砂町三丁目に英語研究会の看板が掲げられると、高橋が専ら教授を務めた[5]

1892年(明治25年)、井上哲次郎のキリスト教排斥論との「教育ト宗教ノ衝突」論争において、植村正久、大西祝らとともにキリスト教教育を擁護する立場で論陣を張った[2][3]。『六合雑誌』、『国民之友』などに論説を多数発表した[2]

1893年(明治26年)9月より立教学校(現・立教大学)の教授になる。立教学校文学会機関紙『八紘』には論文「比較博言学研究法ー日本語及人種の所属』を発表している[6]早稲田大学でも英学を教えた[2]

M・A・ステイシェンを助けて、カトリック最初の日本語聖書である『聖福音書』2巻(1895年~97年)の翻訳業にも寄与する[2][4]

1902年(明治35年)に末日聖徒イエス・キリスト教会の歴史と教義について、論文『麼兒門教と麼兒門教徒』を出版した[7]

1912年(明治45年)頃より、『ファウスト』などの西欧古典の紹介をし、心霊学に傾倒するようになる。また、コーランの翻訳を始める、

1925年(大正14年)、駒沢大学教授に就任した[4]

1935年昭和10年)に死去するが、死後1938年(昭和13年)に有賀阿馬士との共訳で『聖香蘭経』が出版された。 多彩な文才を持つ人物であり、英語教育の著書もある[2][4]。墓所は多磨霊園(5-2-5)

主な著書

  • 『最新英語教習法』東文館 1903年
  • 『英学実験百話』日高有倫堂 1907年

主な訳書

脚注

注釈

  1. ^ 『朝日日本歴史人物事典』(朝日新聞出版)では6月生まれ。

出典

  1. ^ 『植村正久と其の時代 第4巻』教文館、1938年、p.160。
  2. ^ a b c d e f g h i j 朝日日本歴史人物事典(朝日新聞出版) 『高橋五郎』 コトバンク
  3. ^ a b c デジタル版 日本人名大辞典+Plusについて(講談社) 『高橋五郎』 コトバンク
  4. ^ a b c d e 歴史が眠る多磨霊園 『高橋五郎』
  5. ^ 小林功芳「横浜の英語夜学校」『英学史研究』第1977巻第9号、日本英学史学会、1976年9月、33-46頁、ISSN 1883-9282 
  6. ^ 海老沢 有道,大久保 利謙,森田 優三(他)「立教大学史学会小史(I) : 立教史学の創生 : 建学から昭和11年まで (100号記念特集)」『史苑』第28巻第1号、立教大学史学会、1967年7月、1-54頁、 ISSN 03869318 
  7. ^ https://archive.org/details/morumonkyotomoru00taka

参考文献

  • 『キリスト教歴史大事典』教文館、1988年
  • 高橋昌郎『明治のキリスト教』吉川弘文間館、2003年



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