音仮名から訓仮名へ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/08/07 08:46 UTC 版)
『古事記』・『日本書紀』の歌謡は音仮名で表記しているが、『万葉集』では訓仮名を用いる例が見られる。訓とは、一つ一つの漢字がもっている中国語の意味を、日本語に翻訳した固定的な読みをさす。例えば、「池」という漢字に対して日本語の「カワ」・「ヌマ」・「イケ」などが結びつく中で、「イケ」が固定してくる。これが訓の成立ということであるが、特定の日本語が結びつき、固定するまでには長い時間が必要であった。訓が固定すると、漢字を日本語として読むことが可能となり、その訓を表音的に用いるようになる。これが漢字の訓仮名としての用法である。訓仮名は漢字に習熟してはじめて生まれたものであるから、訓仮名の用法が歌謡の中に見られることは作者の漢字習熟度の高さを示すといえよう。 訓仮名には、正訓仮名と借訓仮名があり、正訓仮名とは、漢字がもつ中国語の意味と同じ日本語をその漢字の読みとしたもので、自立語に用いられる。借訓仮名とは、漢字の訓読みを表音のために用いたもので、付属語などに用いられる。『韓藍花歌』の場合、助詞の「鴨」(かも)が借訓仮名で、あとはみな正訓仮名である。
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