錯誤制度
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/21 08:53 UTC 版)
錯誤の場合の表意者の保護と相手方の利害との調整は立法上難しい問題とされる。ドイツ民法では錯誤の効果は取消しであるが、日本では明治時代の民法制定時に錯誤を無効と規定していた(2017年の改正前の民法第95条本文)。日本の民法が錯誤を原則として無効とし表意者に重大な過失がある場合には自ら無効を主張できないとしている点については意思主義に傾いているという批判があった。理論的にみて内心的効果意思の欠如という点では意思表示の欠陥として重大であることによるとされるが、表意者保護を目的とする点では詐欺による意思表示や強迫による意思表示と同じであることからドイツ民法と同様に無効ではなく取消しを採用すべきとの指摘があった。実際、日本の民法の解釈においても通説・判例は錯誤無効は取消しに近い相対的無効であると解釈されていた。錯誤を無効としたのは制定時の立法過誤とされている。また、後述のように動機の錯誤の扱いを巡って学説には対立があり、従来の錯誤の定義づけにも影響していた。 2017年の民法改正で錯誤の要件や効果も法改正が行われた(2020年4月施行予定)。
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