量子力学におけるBerry位相
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/04/17 17:01 UTC 版)
「Berry位相」の記事における「量子力学におけるBerry位相」の解説
n {\displaystyle n} 次固有状態にある量子系では、ハミルトニアンの断熱的な時間発展で系はハミルトニアンの n {\displaystyle n} 次固有状態にとどまるものの、位相因子が付け足されることを見た。この位相因子は状態の時間発展からの寄与のほかに、変化するハミルトニアンとともに移り変わる固有状態からの寄与がある。後者がBerry位相に対応している。 この寄与は、非サイクリックなハミルトニアン変化に対しては、時間発展の各点のハミルトニアンの固有状態に対応する、異なる位相を選択することによって打ち消すことができる。 しかしながら、サイクリックな変化ではBerry位相は打ち消されることはなく、系の観測可能な不変量としてふるまう。マックス・ボルン、ウラジミール・フォック, Zeitschrift für Physik 51, 165 (1928) での断熱定理の証明によって、位相因子の全変化量への断熱過程の寄与を特徴づけることができる。断熱近似の下で、断熱過程における n {\displaystyle n} 次固有状態の係数は次式で与えられる。 C n ( t ) = C n ( 0 ) exp [ − ∫ 0 t ⟨ ψ n ( t ′ ) | ψ ˙ n ( t ′ ) ⟩ d t ′ ] = C n ( 0 ) e i γ n ( t ) . {\displaystyle C_{n}(t)=C_{n}(0)\exp \left[-\int _{0}^{t}\langle \psi _{n}(t')|{\dot {\psi }}_{n}(t')\rangle \,dt'\right]=C_{n}(0)e^{i\gamma _{n}(t)}.} ここで、 γ n ( t ) {\displaystyle \gamma _{n}(t)} はパラメータ t {\displaystyle t} に対するBerry位相である。 t {\displaystyle t} をより一般的なパラメータに書き換えたとき、Berry位相は γ n [ C ] = i ∮ C ⟨ n , t | ( ∇ R | n , t ) ⟩ d R {\displaystyle \gamma _{n}[C]=i\oint _{C}\!\langle n,t|\left(\nabla _{R}|n,t\right)\rangle \,dR\,} と書かれる。ここで、 C {\displaystyle C} はパラメータ空間内の断熱過程に対応する閉曲線であり、 R {\displaystyle R} はサイクリックな断熱過程のパラメータ変数である。閉じた経路に沿ったBerry位相は、Stokesの定理を用いることで、 C {\displaystyle C} で囲まれた曲面上でBerry曲率を積分することで計算できる。
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