重力波天文学的解説
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/28 08:15 UTC 版)
「宇宙重力波望遠鏡」の記事における「重力波天文学的解説」の解説
重力波は、電波、赤外線、可視光、紫外線、エックス線、ガンマ線と同じように、波動の性質を持つため、宇宙膨張による赤方偏移による影響を受ける。よって、遠い天体からの重力波を観測するためには、長い基線長を持つ重力波望遠鏡が必要となる。 例えば、TAMA300の場合、基線長が300mのため、MHz帯の重力波を捉えることならば可能である。しかしながら、300mとなると、銀河系内等で起こる重力崩壊の結果によって生じる重力波を検出することしかできない。それに対して、LIGOとなると、基線長は4km及び2kmに達するため、数十kHzの重力波を検出することが可能となる。この大きさならば、銀河系内で起こる同様のイベントのみならず、おとめ座銀河団内で生じる同様のイベントを捉えることが可能になるとされる。 しかしながら、重力崩壊にしても、恒星質量から生じる特異点半径を計算すると、小さいもので数キロメートル。大きなものでは、数万キロメートルにも達する。よって、銀河系誕生時に生じたものと思われる、活動銀河核(クェーサー)内で生じる重力波を検出するためには、最低でも同じ基線長を持つ重力波望遠鏡が必要となる。 これまでに知られている活動銀河核までの距離は、近いものでも数十億光年、遠いものになると110億光年となるため、ハッブルの法則によれば、赤方偏移は数十%から90%程度にもなる。よって、基線長の長い重力波望遠鏡ならば、重力波を生じるような大規模な現象を観測することが可能になるのである。
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