酵素抗体法(間接法)の種別
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/30 07:34 UTC 版)
「免疫染色」の記事における「酵素抗体法(間接法)の種別」の解説
その他に、酵素抗体法での間接法のバリエーションとも言うべきものとして以下の方法があり、特に一般病院の病理検査室レベルでは(2)が現在では主流となっている。 標識酵素としてペルオキシダーゼを使用する場合に、ペルオキシダーゼ・抗ペルオキシダーゼ抗体の可溶性免疫複合体Peroxydase-anti-Peroxydase Complex(PAP)を用いるPAP法は、抗原抗体反応のみを用いてペルオキシダーゼを導入するものである。一次抗体と、抗ペルオキシダーゼ抗体のホスト動物種を揃えておく。一次抗体を反応させ、それに結合する二価の二次抗体を反応させた後に、PAPを反応させると、二次抗体のふたつの抗原結合部位のうちの空いている方が、PAPに含まれる抗ペルオキシダーゼ抗体に結合する。 二次抗体にビオチン(biotin)を結合(この場合は「標識」とはいわず「ビオチン化」という)させておき、3回目の反応に抗原抗体反応ではなくビオチンと特異的に結合するアビジン(avidin)を用いるLAB(Linked Avidin-Biotin)法、アビジン・ビオチン複合体Avidin-Biotin Complexを用いるABC法、アビジンよりも強固なビオチンへの結合を示すストレプトアビジン(streptavidin)を用いるLSAB(Linked Streptavidin-Biotin)法などがある。また、さらに高感度かつ短時間で染色を可能とする方法も一般的になってきている。これは、二次抗体と酵素をポリマーに結合させたポリマー試薬を反応させるため、内因性のビオチンの影響を受けにくく、2ステップで反応が終了するためである。その他に、TSA法(tyramide signal amplification, あるいはCARD法, catalyzed reporter deposition)という増感法も組み合わせて使用することができる。 酵素抗体法での発色方法としては何種類か選択肢があるが、最も一般的なものは標識酵素としてペルオキシダーゼを用いて、ジアミノベンジジン英語版と反応させるDAB法、ニッケルイオン存在下でDAB法を行うより高感度のニッケルDAB法などである。標識酵素としてアルカリホスファターゼを使用する場合には、NBT/BCIP反応が最も一般的である。
※この「酵素抗体法(間接法)の種別」の解説は、「免疫染色」の解説の一部です。
「酵素抗体法(間接法)の種別」を含む「免疫染色」の記事については、「免疫染色」の概要を参照ください。
- 酵素抗体法の種別のページへのリンク