通約的な正義としての流通貨幣
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/13 04:02 UTC 版)
「ニコマコス倫理学」の記事における「通約的な正義としての流通貨幣」の解説
相互的な需要が存在しなければ、交易は行われない。貨幣は、たとえ今は何も必要なものがなかったとしても、必要が生じたときにはそれが手に入るという将来の交易を保障するには役に立つ。それは、必ずしも常に等しい値を持たない。しかし、他のものと比較すれば、より多く持続する傾きを備えている。あらゆるものに価格を付しておく必要性のゆえである。貨幣は、いわば尺度として、すべてを通約的にすることによって均等化する。交易なくしては共同関係はなく、交易は均等性なしには成立せず、均等性は通約性なしには存在しない。かくも著しい差異のあるいろいろのものが通約的となるということは本当は不可能なのであるが、需要ということへの関係から充分に可能となる。何等か単一的なものの存在することを要するのであって、このものは協定に基づく。貨幣がすべてを通約的たらしめ、あらゆるものが貨幣によって計量される(第5巻第5章)。
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