通商の自由
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/22 19:54 UTC 版)
グロティウスは以上を論拠として、ふたつ目の命題である通商の自由を説いた。グロティウスは資源や富が世界に偏在する状況を是正する必要から、通商権や交通権は普遍人類社会における基本的自然権であり、海はその権利実現のための重要な手段であると位置づけた。つまり、すべての生活必需品が世界中で入手できるわけではない以上、さまざまな場所で異なる生活必需品が生産され、それが民族間で交換されることによって人類社会が成り立っている。この相互依存関係を阻害することは人類社会を破壊するものであり、すべての民族は他の民族のところに行って通商を行うことが許されなければならない。君主や国家は自国民のところに他国民がやってきて通商することを妨げてはならないし、他国民同士が通商することに対しても妨害は許されない、としたのである。さらにもしも他国民同士が通商をすることを妨げるのならば、それは戦争の正当原因にもなるとした。そしてグロティウスはこれら海洋の自由と通商の自由を論拠として、ポルトガルは東インドにつながる航路を独占したりそこから他国を排除することは許されないと主張したのである。
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