逐次比較型A/D変換器と高速標本化⊿Σ変調+デシメーション回路A/D変換器の量子化雑音の分布形状
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/05/26 01:42 UTC 版)
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しばしば16bit44.1kHzのPCM音源の量子化雑音は平坦に分布するが、⊿Σ変調器を用いた1bit2.8MHzDSD音源の量子化雑音は平坦ではないと紹介されることが多い。これは、16bit44.1kHz音源にはノイズシェーピングを用いない逐次比較型A/D変換器などを用いたと誤解したので、PSD(パワースペクトルデンシティ=量子化ノイズの分布)は周波数によらず等しく平坦であると考えたと思われる。しかし現在のいわゆるPCM方式録音に用いられているA/D変換回路は、⊿Σ変調器を有する高速標本化低bit量子化フロントエンド部の後ろに、ディジタル・デシメーション・フィルターで構成されている場合が殆なので、PCM音源=PSDが平坦分布とは言えないことを理解しておく必要がある。 例えばDSDレコーディング黎明期に市販されていた旭化成AK5390やアナログデバイセズAD1879というA/D変換ICの場合、このICの出力bit数は20bitや18bitで標本化周波数は44.1kHzや48kHzだった。実はAK5390やAD1879内部には2.8224MHz1bit5次⊿Σ変調器を有するフロントエンド部と、その後ろには1bit2.8224MHzを1/64に周波数変換を行うデシメーション・フィルター回路が搭載されていた。つまりAK5390の出力は20bit44.1kHzであっても、IC内部では1bitA/D変換と1/64周波数間引き動作が行われてマルチビットPCMデータが出力されるので、量子化雑音の分布をみるとフロントエンド部の⊿Σ変調器の特性によってPSDは平坦ではなかったが、このようなA/D変換器の回路構成は現在市販のものでも同じである。 ここで、もうひとつ覚えておかなければならないのは、上記のようなA/D変換ICのデシメーション回路が24bitで出力されていても、そのダイナミックレンジが24bit相当(144dBと誤解している例も多い)になる訳ではなく、あくまでもダイナミックレンジは⊿Σ変調器やアナログバッファアンプ回路の出来栄えによるという点である。
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