転写因子としての特徴
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/06/02 17:16 UTC 版)
「RGPR-p117」の記事における「転写因子としての特徴」の解説
RGPR-p117タンパクは細胞内の核局在性を示し、転写因子に特有な構造であるロイシンジッパーモチーフ(ロイシンが4個)が認められている。このモチーフをほかの生物種と比較すると、ニワトリのロイシンは2個であった。また、RGPRタンパクには核移行シグナルに関連したアミノ酸配列も有していた。 ラットRGPR-p117をコードするベクターをクローン化正常ラット腎近位尿細管NRK52E細胞に導入すると、発現増加したRGPR-p117は細胞質と核に分布する。RGPR-p117 cDNAを導入してRGPR-p117タンパクを発現増加したNRK52E細胞において、レギュカルチンmRNAとそのタンパク発現の増加をもたらした。さらに、RGPR-p117タンパクの発現増加はレギュカルチン遺伝子プロモーター活性を有意に高めることをレポータージーンアッセイにより実証されている。このプロモーター活性の上昇はTTGGC(N)6CCを欠失した場合には見られなかった。RGPR-p117はレギュカルチン遺伝子プロモーターに結合し、転写因子として機能することが明らかにされている。 NRK52E細胞培養系において、RGPR-p117タンパクの発現増加によるレギュカルチン遺伝子プロモーター活性の増加は、細胞内情報伝達系に関与する各種プロテインキナーゼおよびプロテインホスファターゼ活性の阻害剤の存在下で培養することにより抑制された。RGPR-p117のレギュカルチン遺伝子プロモーター活性調節には、タンパク質のリン酸化および脱リン酸化が関係していることが示唆されている。 RGPRファミリータンパクは、レギュカルチン遺伝子プロモーター活性を高める転写因子として、生物の進化の過程で保持されてきたものと推察される。特に、転写因子に特徴的なロイシンジッパーモチーフは哺乳動物に高く保存されていた。このことはレギュカルチンの遺伝子配列やアミノ酸組成が、生物種の中で、哺乳動物において極めて高いホモロジーを有することと関連しているものと推察されている。
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