走査型プローブ顕微鏡用のカンチレバー
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/06 21:11 UTC 版)
「カンチレバー」の記事における「走査型プローブ顕微鏡用のカンチレバー」の解説
走査型プローブ顕微鏡(SPM:Scanning Probe Microscope)においては、カンチレバーは自由端近傍に探針が形成された構造全体を指す言葉として使われる。被測定試料に最も近い位置にある部品で、光学顕微鏡に喩えると対物レンズに相当する。半導体プロセスを用いて作製された小さなカンチレバーが広く用いられ、構成材料や形状の異なるさまざまなカンチレバーが製作されている。構成材料には単結晶シリコンや窒化シリコンが使われる。形状は中抜き三角形薄板や短冊形薄板が一般的である。長さはおおよそ50μmから500μm、厚さはおよそ0.1μmから5μmである。構成材料や形状の差により異なる機械特性(ばね定数、共振周波数、Q値)を示し、ばね定数は0.005 N/mから50 N/m、共振周波数は5 kHzから500 kHzの間の特性を示す。 例えば0.5 N/mのばね定数のカンチレバーを測定試料に1 nm押し込めば、次式に示すフックの法則より0.5 nNの力が測定試料に加わる。 F = − k x {\displaystyle F=-kx} (F:力、k:ばね定数、x:変位) 一般にアスペクト比の高い、つまり、より尖った探針の方が正確なTopography(表面凹凸像)を得られる一方、先端の強度が低下する。近年では材料強度の高いカーボンナノチューブを探針として用いたカンチレバーも市販されている。
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