調和運動とは? わかりやすく解説

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単振動

(調和運動 から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/04/11 13:11 UTC 版)

単振動のアニメーション

単振動(たんしんどう、Simple harmonic motion)とは、量の時間変化が三角関数の正弦関数または余弦関数で表される振動である。調和振動(ちょうわしんどう)や、単調和振動調和運動とも呼ばれる[1][2]。余弦関数(コサイン)を使った表現では、

単振動のグラフ。横軸 t 縦軸 x

何かの量が時間経過に応じて変動しているとする。この量 x単振動するとき、 x と時間 t の関係は余弦関数 cos によって

複素指数関数の実部・虚部

eネイピア数i虚数単位とすれば、複素指数関数とは αe の形式で表現される関数である[24]。単振動は、次のような複素指数関数の実部または虚部を取ったものに相当する[25]

等速円運動を x 軸と y 軸に射影したときのアニメーション

単振動は、次のように上を等速運動する点を直線上へ投影したものとも見なせる[9]xy-平面上に、始点 O、終点 P、一定長さ A幾何ベクトル OP を考える。点 P が点 O を中心として一定速度 ω で反時計回りに回転しており、t = 0 で点 P は角度 φ の位置にあるとする。この点を x 軸に正射影すると、

単振動とその速度と加速度のグラフ。A = 1 ω = 1.6, φ = 0 の例。

単振動する x の変化速度と変化加速度も三角関数で与えられる。cos 形式の xt微分すると、次のような速度 dx/dt が得られる[6]

複素指数関数形式における x とその速度・加速度の関係

複素指数関数による形式では次のとおりである。単振動の複素指数関数の形式を t で1回微分すれば

単振動のxv-相平面の様相。ω = 0.5 の場合の例で、実線は A = 2, 4, 6 または 8 の軌道、矢印は全体のベクトル場

速度 dx/dt を改めて変数 v と表し、xv の組を状態点とすれば、単振動のxv-相平面における軌道について考えられる。このとき、単振動は次のような2変数の微分方程式系で表される[34]

ばねで吊り下げられた重り(質点)の動きのアニメーション
横軸に時間を取って図示したばねの単振動の様子

単振動が起こる調和振動子と呼ばれる[39]。調和振動子の代表例の一つが、質点ばねの系である[40]。重り(質点)がばねで吊り下げられて揺れている系を考える[41]。ばねはフックの法則に従うとする[42]。現実には空気の抵抗などによって振動は次第に止まるが、そのような減衰作用は今は無視する[43]。重りの質量m、ばねのばね定数k、吊り下げられた重りが静止している状態からの上下方向変位δ とする。この重りの運動方程式

5個の単振動を使ったフーリエ級数のこぎり波を近似した例

単振動同士のを作ることを、単振動の重ね合わせ単振動の合成と呼ぶ[53]。単振動の重ね合わせは、振動・波動の多くの場面で現れる[54]。例えば、自由度 n線形多自由度系の振動非減衰自由振動は、単振動の n 個の重ね合わせで表現できる[55]。また、フーリエ級数を使えば、与えられた様々な周期運動を単振動の無限の重ね合わせで表現できる[56]

2つの単振動する量 x1x2 を考える。これらが同一方向(同じ x 軸方向)の振動だとすれば、その重ね合わせは、

ω1 = ω2(同一値、単振動)
  • ω2/ω1 = 2(無理数、無周期運動)
  • ω2/ω1 = 1.5(有理数、周期運動)
  • ω2/ω1 = 1.1(近い値、うなり
  • 直角方向の重ね合わせ

    リサジュー図形とそれを構成する2つの単振動の例

    互いに直角する方向の単振動の重ね合わせも考えられる[66]xy-平面上の点が、x 方向に




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