記憶の隙間 Lest We Remember
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/02 23:54 UTC 版)
「変化の風」の記事における「記憶の隙間 Lest We Remember」の解説
ジョン・ヒースは、カンタム製薬の下級役員のひとりである。彼は、今日から2週間後にスーザンと結婚する予定だ。そして今夜は、会社の研究所からカブファとアンダースンが訪ねてくる。やってきた2人はさっそく話を始めた。カンタム製薬では、大脳に影響を与える化学物質を研究していること、動物実験は終わっておりそれらの学習能力が飛躍的に高まったこと、人間の被験者を探しており会社の従業員データからジョンに白羽の矢を立てたことであった。ジョンが選ばれた理由を尋ねると、すべての面で平均的だかららしい。知能の低い者には投薬量を多くしなければならず、知能が高い者では効果が目立たないそうだ。平均的と言われたことに憤慨したジョンは、被験者を買ってでた。注射されてから1日が過ぎたとき、会社で出された質問にジョンが即答した。取引の内容、日付、送り状番号、そして金額。ほかの者がコンピュータで確認した内容と、まったく同じだった。その夜、スーザンと会ったジョンは、過去に見たもの聞いたものをすべて思い出すことができると話した。彼はこの能力が、他の人間に使われるようになる前に、少数の「優れたる人」としてできるだけ出世しておく、とも言った。彼は7日間かけて、カンタム製薬での記憶を整理した。そして、ほとんどの従業員が犯していた間違いを指摘した。またコンピューター・システムに侵入して、さまざまなファイルを読み、そこから無用な計画、不要な支出についても探り出した。彼はいまや上司のことを、無能よばわりできるほどの知識を持っていた。ある日、会社の無駄や非能率を説明し、手始めに管理職を半減しても影響がないことを説明した。しかも、彼を責任者に任命して、このアイデアをカンタム製薬が実行しなければ、彼は他のライバル会社に移ってそのアイデアを実行し、その会社を急成長させて、やがてカンタム製薬を倒産させるとまで言った。
※この「記憶の隙間 Lest We Remember」の解説は、「変化の風」の解説の一部です。
「記憶の隙間 Lest We Remember」を含む「変化の風」の記事については、「変化の風」の概要を参照ください。
- 記憶の隙間 Lest We Rememberのページへのリンク