視交叉上核以外の時計中枢
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/11 04:05 UTC 版)
「概日リズム」の記事における「視交叉上核以外の時計中枢」の解説
近年、体のいくつかの細胞が時計中枢である視交叉上核の支配下にないことを示す証拠が現れてきた。例えば、肝臓の細胞は光より摂食に応答するようである。また、食餌性の概日リズムの形成には視床下部の背内側核が関与しているといわれている。 1997年には時計遺伝子が発見された。全身の細胞はそれぞれ、時計遺伝子の転写翻訳フィードバックグループで形成される「細胞時計」による独自の生体リズムを持っている。これらの同調・微調整に視交叉上核が関わっている。 細胞時計を司る遺伝子には、陽性制御のClock・Bmal1など、陰性制御のPer遺伝子群・Cry遺伝子群などがある。時計の仕組みは、TTFL(transcriptional-translational feedback loop)であり、負のフィードバック制御機構をもったシステムである。 PER/TIM複合体のリン酸化は哺乳類ではCK Iというkinaseが関わっていてこれが周期長を制御する。これは27度~37度あたりで温度変化させても周期長は変わらないことが知られており、これは温度補償性と呼ばれている。上田泰己教授らは、CK Iδ-ATP複合体と基質、CK Iδ-ADP複合体と基質の親和性が温度変化に依存しており、このシステム全体では温度補償性が実現されていることを発見した。
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