複素対称行列のオートン高木分解
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/17 08:08 UTC 版)
「対称行列」の記事における「複素対称行列のオートン高木分解」の解説
複素対称行列Aのジョルダン標準形は対角行列ではないかもしれず、それゆえAが対角化可能であるとは限らない。複素対称行列はユニタリ行列によって「対角化」される。即ち、複素対称行列 A に対しユニタリ行列 U が存在して UAUT が対角行列となるようにすることができる。このことは「オートン高木分解」とも呼ばれ、もとはレオン・オートン (Autonne 1915) と高木貞治 (Takagi 1925) がそれぞれ証明し、その後さまざまな数学者によって異なる証明を以って再発見された。 実際、行列 B = A∗ A はエルミートかつ非負であり、ユニタリ行列 V によって非負実数を成分とする対角行列 V∗ BV が得られる。従って、C = VTAV は C∗ C が実であるような複素対角行列になる。実対称行列 X, Y を用いて C = X + iY と置けば C∗ C = X2 − Y2 + i(XY − YX) となるから、XY = YX を得る。X と Y が可換ゆえ、実直交行列 W が存在して WXWT, WYWT がともに対角行列となるようにすることができる(同時対角化)。そこで U = WVT と置けば、行列 UAUT は対角行列になる。U に右から対角行列を掛けることにより対角成分を正にすることができる。 各対角成分の平方は A∗ A の固有値であり、A の特異値と一致する。
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