蛍石レンズ/異常分散(特殊分散)レンズ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/29 01:47 UTC 版)
「写真レンズ」の記事における「蛍石レンズ/異常分散(特殊分散)レンズ」の解説
レンズに光を通すと波長の違いによるスペクトル光が生じ、焦点のズレなどが生じる色収差が発生する。特に望遠、超望遠レンズでは焦点距離が長いため、色収差が顕著に現れる。写真レンズは屈折率やスペクトル光のずれ具合の異なる素材を使ったレンズの組み合わせによって色収差を補正するが、蛍石(フローライト、フッ化カルシウム)は通常の光学ガラスと比較するとスペクトル光のずれが異常に少ないため、これをレンズとした蛍石レンズを使用することで色収差補正における設計自由度が向上し、色収差を補正しやすくなる。また、通常の光学ガラスを用いて同等の色収差補正を実現するよりも小型・軽量化しやすくなる。しかし蛍石は研磨が難しい、結晶であるため割れやすいなど難しい点がありコストアップ要因であるため、蛍石レンズを使用した民生用レンズを販売しているメーカーでもごく一部でしか採用していない。近年では蛍石と似た低分散性を持つ異常分散ガラスを用いた異常分散レンズが開発され、高級製品から量産タイプまであらゆるレンズで用いられるようになっている。
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