菊酸とは? わかりやすく解説

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菊酸

分子式C10H16O2
その他の名称菊酸、第一菊酸、カルボン酸、クリサンテム酸、Chrysanthemic acid、Chrysanthemumic acid、Chrysanthemummonocarboxylic acid、クリサンテマム酸、クリサンテマムモノカルボン酸、2,2-Dimethyl-3-(2-methyl-1-propenyl)cyclopropanecarboxylic acid、Chrysanthemumcarboxylic acid
体系名:2,2-ジメチル-3-(2-メチル-1-プロペニル)シクロプロパン-1-カルボン酸、2,2-ジメチル-3-(2-メチル-1-プロペニル)シクロプロパンカルボン酸


菊酸

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/08/22 00:09 UTC 版)

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菊酸
識別情報
CAS登録番号 4638-92-0 (1R,3R) or (+)-trans
PubChem 16747 (1R,3R) or (+)-trans
33607 (1S,3S) or (-)-trans
33606 (1R,3S) or (+)-cis
20755 (1S,3R) or (-)-cis
ChemSpider 15876 (+)-trans
19543 (-)-cis
日化辞番号 J10.459K
特性
化学式 C10H16O2
モル質量 168.23 g mol−1
特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。

菊酸(きくさん、chrysanthemic acid)は、様々な天然ならびに合成殺虫剤と関連する有機化合物の一つである。ピレスロイドに分類されるピレトリンI (Pyrethrin I) やピレトリンII (Pyrethrin II) と関連している。菊酸の4種の立体異性体の一つである (1R,3R)- or (+)-trans-chrysanthemic acidは、除虫菊 (Chrysanthemum cinerariaefolium) の種子に含まれるピレトリンIの酸部である。多くの合成ピレスロイド、例えばアレトリン類は、菊酸の4種の異性体全てのエステルである。

構造

立体異性体

菊酸には2箇所のキラル中心が存在し、その場所は、いずれも分子内対称面になり得ない構造をしているため、この2箇所がS配置であるかR配置であるかの組み合わせによって、合計4つの立体異性体が存在する。例えば、菊酸の4つの立体異性体の中で、(1R,3R)-菊酸は、ピレトリンIの部分構造である。

ピレスロイドとの関係

殺虫剤として使用される化合物群の中の1つに、ピレスロイドと呼ばれる化合物群が存在する。当初のピレスロイドは、全て菊酸を部分構造として有していた。しかし、人工的に合成されたピレスロイドの中には、菊酸の構造を有していない物も開発された。したがって、ピレスロイドならば菊酸を部分構造に持つとは言えなくなった。

生合成

菊酸の生合成。炭素数5つのイソプレンの単位が判り易いように、後から結合したイソプレンの炭素の部分を赤く着色してある。

菊酸はモノテルペノイド、すなわち、炭素数5のイソプレン単位が2つ結合しているため、菊酸の炭素数は10個である。ちょうど、イソプレンのピロリン酸エステルが2分子を原料として、菊酸が合成される。なお、イソプレンのピロリン酸エステルは、ジメチルアリル二リン酸から生合成される[1]

人工合成

菊酸は工業的に、シス-トランス異性体の混合物であるジエンシクロプロパン化反応とそれに続くエステルの加水分解によって生産される[2]

多くのピレスロイドは菊酸エチルエステルの再エステル化によって入手できる。

脚注

[脚注の使い方]
  1. ^ Shattuck-Eidens DM, Wrobel WM, Peiser GD, Poulter CD (2001). “Chrysanthemyl diphosphate synthase: isolation of the gene and characterization of the recombinant non-head-to-tail monoterpene synthase from Chrysanthemum cinerariaefolium”. Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 98 (8): 4373–8. doi:10.1073/pnas.071543598. PMC 31842. PMID 11287653. https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC31842/. 
  2. ^ Kelly, Lawrence F. (1987). “A synthesis of chrysanthemic ester: An undergraduate experiment”. J. Chem. Educ. 64: 1061. doi:10.1021/ed064p1061. 

菊酸

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/01 22:04 UTC 版)

ピレスロイド」の記事における「菊酸」の解説

詳細は「菊酸」を参照 菊酸(きくさん、chrysanthem(um)ic acid)はシクロプロパンカルボン酸1種で、テルペノイドである。1891年にシュラクデンホーフェン (Schlagdenhauffen) とレーブ (Reeb) が、除虫菊水蒸気蒸留する方法単離したカルボン酸 (chrysanthemum-monocarboxylic acid) とも呼ばれる化学式 C10H16O2 で、分子量は168.23である。IUPAC名は (1R,3R)-2,2-ジメチル-3-(2-メチル-1-プロペニル)シクロプロパンカルボン酸CAS登録番号は4638-92-0。常圧での融点17 から21 程度で、不安定な黄色の油様物質として存在し殺虫作用を持つ。しかし、光、空気酸化により分解して失活する。不揮発性で、などの極性溶媒には溶け難い。

※この「菊酸」の解説は、「ピレスロイド」の解説の一部です。
「菊酸」を含む「ピレスロイド」の記事については、「ピレスロイド」の概要を参照ください。

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