臓器特有の臨床症状
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/24 22:37 UTC 版)
「急性放射線症候群」の記事における「臓器特有の臨床症状」の解説
急性骨髄症候群 1Gy以上の全身被曝によって出現する。これは、各臓器の幹細胞のなかで骨髄の造血幹細胞がもっとも放射線に対する感受性の高いことによるもので、造血幹細胞が細胞死を来たし、造血細胞が減少する。これにより白血球と血小板の供給が途絶えるため、出血が増加すると共に免疫力が低下し、重症・無治療の場合は30〜60日程度で死亡する。 消化管症候群 5Gy以上の全身被曝によって出現する。これは小腸内の幹細胞が細胞死を来たすことによって上皮細胞の供給が途絶することによるもので、吸収力低下による下痢や、細菌感染が発生し、重症無治療の場合は20日以内に死亡する。 放射線神経障害 30Gy以上という高線量の全身被曝によって出現する。中枢神経に影響が現れ、意識障害、ショック症状を伴うようになる。 ARSの一環として発症するものは、通常の医療被曝の範囲内であれば比較的予後良好であるが、晩発性放射線障害の一環として発症するものは進行性で、予後不良である。 放射線障害性心膜炎 ARSの一環として発症するものは、通常の急性心膜炎と同様のものであり、予後良好である。しかし心膜炎の通弊として、慢性収縮性心膜炎に進展した場合は予後不良となる。 放射線肺炎 40Gy以上という高線量の局所被曝によって出現する。80%はステロイド系抗炎症薬治療に対する反応性を示すが、時に肺線維症に進展する。 皮膚障害 皮膚は上皮基底細胞の感受性が高く、3Gy以上で脱毛や一時的紅斑、7〜8Gyで乾性落屑、15Gy以上で湿性落屑や水疱形成、20Gy以上で潰瘍、25Gy以上で壊死がみられる。ただし,線量率(Gy/時間)と被曝皮膚面積により、これらの症状は変動する。
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