脱穀工程
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/05/10 19:25 UTC 版)
「コンバインハーベスター」の記事における「脱穀工程」の解説
機械とコンピュータ制御の大きな進歩にもかかわらず、コンバインの基本構造は発明以降ほとんど変わっていない。 まず、上記のヘッダ(header)が作物を刈り取り、それをコンケーブ(concave)に投入する。これは作物の通路を横切るように取り付けられ、円柱を四分の一に割ったような形状の湾曲した網で、ラスプバー(rasp bars)と呼ばれる脱穀ドラムが回転する際に作物を後方へと送るガイドの役目を持つ。脱穀ドラムを回転させることによりコンケーブの上で作物を脱穀し、穂から穀粒を分離する。穀粒はコンケーブの網目をくぐってシーブ(sives)に落ち、大きなワラはコンケーブの上に残り、コンケーブの端からストローウォーカー(straw walkers)の上へと送られる。 シーブは通常、上下に2段ある。それぞれ、穀粒の粒の大きさに合せて調整された穴を備えている。上段のチャフシーブの穴は下のシーブの穴より大きくされる。下段のグレンシーブを通って落ちるものはすべて選別の済んだ穀粒として、グレンタンクに送られる。 シーブは少し勾配が付いた状態で揺動して比重によって穀粒を選別し、さらに強力なファンによってシーブの正面から風を送って穀粒とワラ屑を分離する。もしファンを強くしすぎると、シーブ後方の穀粒がコンバインの外へ飛散してロスを生じ、逆にファンを弱くしすぎるとワラ屑が穀粒に混入する。重いワラ屑や、脱穀されなかった穂先などは、シーブの後方に落ち、再度脱穀するためにコンケーブへと戻される。 ストローウォーカーはシーブの上に位置していて、ワラ以外のものを下に落とす隙間がある。ワラにくっついて残った穀粒を上段のシーブの上にふるい落し、ワラがウォーカーの最後部に達すると、圃場へと落とされる。圃場に落としたワラが必要な場合、ベーラー等の梱包機械で収集するのが一般的だが、コンバインハーベスターで直接ベーラーを牽引して梱包する方法もある。もしワラが必要ないなら、出口にストローチョッパー(A straw chopper)を付けて細断して散布することができる。 コンケーブの隙間、選別ファンの回転数及びシーブの隙間の調整は、作物が適切に脱穀され、穀粒がワラ屑等を含まず、脱穀機に投入した穀粒の全てをロス無くグレンタンクに送るために重要である。例えば、登り坂を刈り進む場合は、シーブの勾配がより浅くなる為に、選別ファンの回転数を減らさなければならないことに注意が必要である。
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