総兵衛殺人事件
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/05/16 08:01 UTC 版)
「橋廻り同心・平七郎控」の記事における「総兵衛殺人事件」の解説
平七郎が左遷された原因となった事件。 瓦版屋「一文字屋」主人の総兵衛(おこうの父)は、ある盗賊一味の隠れ家を発見して、それを北町奉行所に知らせた。当時、定町廻り同心であった平七郎は、上司である与力一色弥太郎に、すぐに捕り方を向かわせることを上申したが、一色はなぜか待ったをかけた。 捕り方がなかなか来ないため、張り込んでいた総兵衛は、賊が逃げ出すのを止めるために単身立ち向かった。一色の態度に業を煮やした平七郎が単身駆けつけたときには、総兵衛は賊にやられて虫の息であり、やがて息を引き取った。 総兵衛が残した記録によって、賊は全員捕縛されることになるのだが、一色はその手柄を自らのものにし、総兵衛が死んだ責任を平七郎に負わせる報告をした。そのため、一色は吟味方与力の筆頭格に昇進し、平七郎は橋廻りに左遷された。 しかし、平七郎は、一色の報告に異議を申し立てることなく、粛々と左遷の決定に従った。それは、責めをどちらが負うことになっても、総兵衛が生き返るわけではないし、一色の采配など待たずに独自に現場に走っていればよかったという、悔恨と慚愧の念があったためである。
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