納屋集落
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/07 04:07 UTC 版)
九十九里平野の特徴的な集落の形態として納屋集落が上げられる。海岸線に平行に、集落、耕作地、集落、耕作地、集落のように、集落と耕作地(水田)が帯状に列を成すものである。海岸近くで農業のかたわら漁業を営んでいた集落があり、海岸線が後退していくなどの理由から浜辺に漁具等を保管する納屋を建て通っていたものが、やがて定住するようになり浜辺に納屋集落が形成され、集落と集落の間の低地を耕作地として利用する、ということを繰り返し成立した集落の形態であり、元の集落と浜辺の集落は主従関係にあるのが普通である。このため、平成の大合併以前は、横芝町、成東町、大網白里町のように、細長い町域を持つ自治体が多かった。 水に恵まれ農業が盛んであった北東側などでは、古墳時代以前の納屋集落である古村、奈良平安期に開発された岡集落、鎌倉時代以降の浜集落の順に形成されているが、紀州漁民の入植があった南部の地域は若干様相を異にする。この地域では、江戸時代地引き網漁が盛んであったころ、イワシの豊漁期に多くの漁民が移住し浜辺の納屋集落の人口が増加する。その後不漁期になると人口が過剰になるので、これらの漁民が背後の未墾地を開発して新田集落を形成し農民化した。水の恵みに乏しかった土地で新田開発をするので水不足が進むという問題はあるが、1年間に2メートル強の割合で海岸線が後退していくことによって成り立った集落の形態であることには変わりはない。
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