筋生理学
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/10/04 18:16 UTC 版)
「電位依存性カルシウムチャネル」の記事における「筋生理学」の解説
平滑筋細胞で脱分極が起こると、L型電位依存性カルシウムチャネルは開口する。脱分極は細胞の伸展、Gタンパク質共役型受容体へのアゴニストの結合、自律神経系の刺激などによってもたらされる。L型カルシウムチャネルの開口は細胞外のCa2+の流入を引き起こし、それらはその後カルモジュリンに結合する。活性化されたカルモジュリン分子は、太いフィラメント(thick filament)のミオシンをリン酸化するミオシン軽鎖キナーゼ(英語版)を活性化する。リン酸化されたミオシンは細いフィラメント(thin filament)のアクチンとクロスブリッジ(crossbridge)を形成できるようになり、フィラメントの滑りによって平滑筋線維は収縮する(平滑筋においてL型カルシウムチャネルが関与するシグナル伝達カスケードについてはを参照)。 また、L型カルシウムチャネルは、骨格筋と心筋の筋線維などの横紋筋細胞のT管にも多く存在している。これらの細胞が脱分極した際には、平滑筋細胞と同様にL型カルシウムチャネルは開口する。骨格筋では、チャネルの開口は筋小胞体のカルシウム放出チャネル(リアノジン受容体、RYR)を機械的に作動し、RYRの開口を引き起こす。心筋では、L型カルシウムチャネルの開口は細胞内へのカルシウムの流入を起こす。カルシウムは筋小胞体のRYRに結合して、RYRを開口させる。この現象はカルシウム誘発性カルシウム放出(CICR)と呼ばれている。機械的またはCICRのいずれかの機構でRYRが開口すると、筋小胞体からCa2+が放出され、アクチンフィラメントのトロポニンCへ結合できるようになる。そして滑り機構によって収縮し、サルコメア(英語版)の短縮と筋収縮が引き起こされる。
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