空想的な設定
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/15 07:52 UTC 版)
愛馬の「ゼーロン」は、ドン・キホーテの愛馬「ロシナンテ」にならって名付けられている。これは主人公・マキノだけの呼び名で、現実に牧野が接していた馬は、他の人たちからどう呼ばれていたのか不明で、「モグラ馬」と呼んでいた人もいるという。 作品冒頭、主人公・マキノは「新しい原始生活に向うため」と述べているが、この「新しい原始生活」と言い方は、生活が窮乏し「経済破綻」となった主人公が、それをあえて「新しい原始生活」と見立てて、言い換えていると千石英世は解説し、こういった作中随所に見られる主人公・マキノの「行動原理」である「見立て」は、作者・牧野のそのものの「創作の原理」や創作エネルギー源でもあり、「見立て」ることによってのみ「夢想世界」が成立するとしている。 また、騎馬行の目的地「ピエル・フォン」は、煩わしい俗世から隔離された「異界」の「ユートピア」として設定され、騎馬行自体が、「夢そのもの」、「作者の心象風景そのもの」となり、その時のマキノはもはや、「現実界のリアリティー引きずる人物ではなくて、声高に〈ヒクソスの進軍歌〉を歌い、ダビデもどきの一撃を加えられる騎士マキノ」に変貌していると柳沢孝子は解説している。
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