空力部品の規制
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/23 00:47 UTC 版)
レーシングカーのウイングは空気流の中で垂直下方向の力(ダウンフォース)を発生することでタイヤへの荷重を増加させ、コーナリングの限界速度を高めている。しかし、同時に進行方向と水平逆向きの抗力も発生し、加速運動への抵抗となる。ダウンフォースを増やすとコーナー区間を速く走れるが、直線区間のスピードが遅くなる。逆にダウンフォースを減らすと直線区間では速いが、ブレーキングやコーナリング中にグリップ力が足りず、タイヤがスリップしての磨耗を早める結果にもなる。 航空機の翼のようにフラップを操作できる可変式ウイングであれば、コーナー区間ではフラップを立ててダウンフォースを増やし、直線区間ではフラップを寝かして抗力を減らすよう切替えることができる。過去には油圧式可変ウイングを使用した例もあるが、現在はF1テクニカルレギュレーション第3条15項により、空力的影響をもつ部品は固定された状態で動いてはならないと決められている。このため、ウイングのセッティングはサーキットの特性(ラップタイムへの影響度)を考慮して妥協点を探ることが多い。 1990年代末から密かに流行したのが、直線走行時に風圧でフラップがたわみ、固定式ながら可変式と似た効果を得られるフレキシブル・ウイングである。2006年にはフェラーリ・248F1やBMWザウバー・F1.06のウイングが違反ではないかと物議を醸し、リアウイングのフラップに角度固定用のセパレーターを装着することが義務付けられた。2009年にはウイングの静荷重検査でトヨタTF109が予選失格になるという事例もあった。 Fダクト・システムはフレキシブル・ウイングと同じく、高速走行時の抗力抑制を狙った「擬似可変ウイング」であるが、ウイング等の空力部品を動かすことなく機能するためレギュレーションに抵触しない。作動方法にも機械的な要素がなく、ドライバーの身体の一部をスイッチ代わりにしてオン・オフを切替える。
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