科学的実在論の歴史
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/18 04:31 UTC 版)
科学的実在論は合理主義や実在論といった旧来の哲学的立場と関係があるが、基本的には20世紀になってから発達した科学についての主張である。したがって、ガッサンディやジョン・ロックにおける、それまでの「哲学用語としての科学的実在論」を含めて定義しようとすると誤解を招くことになりかねない。 大ざっぱに言えば、科学的実在論は論理実証主義への反発として発展してきた。論理実証主義は20世紀に登場した最初の科学哲学であり、科学的実在論の先駆とも言えるものである。論理実証主義の主張によれば、観察のための用語と理論に用いられる用語とはまったく異なるが、理論に用いられる用語については、観察に用いられる用語と論理的用語を用いて意味論的に分析することが可能であるという。 論理実証主義には以下のような問題が指摘されている。 意味を検証する理論の問題。この点はヘンペルなどによって批判されている。 分析と総合がきちんと区別されていない。この点はクワインなどによって批判されている。 観察の理論が冗長である。クーンやクワインが批判。 語の観察から文の観察に移行することが難しい。パトナムが批判。 観察と理論の区別が曖昧である。マクスウェルによる。 これら論理実証主義にかかわる問題への一つの解決策として科学的実在論が登場し、実在論を科学哲学として発展させることを促した。 実在論は実証主義に代わって科学哲学上の支配的な考え方になっている。ファン・フラーセンは実在論に対する代替案として構成的経験論を提起した。ファン・フラーセンへの応答を通じて実在論は発展し、科学的実在論の主張のいくつかを修正していった。
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