科学的実在論批判
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/07/24 17:37 UTC 版)
「バス・ファン・フラーセン」の記事における「科学的実在論批判」の解説
ファン・フラーセンによれば、科学的実在論が信奉される理由は、科学は現象の説明を究極の目標としているという考え方が広く浸透していることにある。しかし彼によれば、この考えは間違っている。実際には科学理論にとって現象の説明は二次的な目的でしかなく、ある科学理論の確からしさを判断するための規準は、その理論が経験的データ・モデルに適合しているかどうかということだけである。 さらに言えば、説明への要求は心理学的次元で論じられるべきものであって、科学的次元の問題ではない。ファン・フラーセンによれば、現象の説明には「プラグマティック」な要因が深く関連していて、一定の文脈で、一定の関心を持った人に対しては十分な説明となることがらが、別の文脈で別の関心をもつ人に対しては、必ずしも適切な説明となるわけではない。説明とは理論と現象の純粋な関係ではなく、これらに文脈を加えた三項の間の関係なのである。したがって、たとえばある理論が経験的証拠に対する「最善の説明」である、といったことを、その理論を信じるべき理由として採用するのは適切でない。ある理論が現象の説明に適しているかどうかは、せいぜい「経験的に同値」な他の理論と区別する際に役立つに過ぎないのである。
※この「科学的実在論批判」の解説は、「バス・ファン・フラーセン」の解説の一部です。
「科学的実在論批判」を含む「バス・ファン・フラーセン」の記事については、「バス・ファン・フラーセン」の概要を参照ください。
- 科学的実在論批判のページへのリンク