研究者の見解
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2018/11/24 13:35 UTC 版)
歴史家エリック・ホブズボームは義賊を「社会の不公平に対し、社会自体を変革させようとするのではなく、その枠組の中で民衆の抑圧の象徴として権力に抗い、正義を体現しているとみなされる存在」と定義した。カンガセイロは社会の不公平の中で、暴力で抜きんでだ存在となったものの、その実態は大土地所有者と癒着していた。農民の地主への抗議に対し、暴力でその鎮圧に乗り出したカンガセイロも珍しくない。しかし大土地所有者の「王国」の中で、カンガセイロは民衆が収奪に対する反撃を行えるだけの武力になりえることを証明した。カンガセイロはホブズボームの定義の中では、社会への「復讐者」として義賊に分類されている。民衆は社会的な不正に対し、自らに代わってその実力を突きつける民衆の中から生まれた「復讐者」を称揚する。暴力によって地方政権を脅かし交渉の場につかせるカンガセイロ的な盗賊は、旧来のロビン・フッド的な義賊とはまったく異なるものだったが、社会に不平を抱く民衆によって熱烈に支持された。これは20世紀から出現し始めた新しい義賊の形であり、カンガセイロはその初期の典型的な存在だったと評価されている。
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