病人役割論
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/20 03:18 UTC 版)
医療社会学では、「病人」を社会学でいうところの「社会的役割」の観点から分析している。その古典的な理論が構造機能主義社会学の泰斗タルコット・パーソンズによる病人役割論である。すなわち、パーソンズによれば、社会システムを維持するために以下のような社会的役割が病人に要請されているという。 通常の社会的役割からは免除される。 罹患に対する責任は問われない。 回復に向けての義務が課される。 専門的援助を求め医師に協力する義務が課される。 ただし、このようなパーソンズの定式化は、あまりに大人‐子ども関係に模したものであるとして、その後数多くの批判を受け、「契約モデル」等の考え方が現れている。ただし、この定式化は1つの理念型としてはなお有効性を有している。例えば、アルコール依存症患者を単純に「病人」と見なすことに対して抵抗感が抱かれる場合があるが、その背景にはアルコール依存症は自己責任、自業自得であるとする通念があり、したがって、如上の2番目の条件に抵触していると感じられるためである。
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