生長のスピード
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/01/26 02:31 UTC 版)
子実体の伸長が非常に速いことで有名で、つぼみの頂端が裂開し始めてから托が伸び、さらに菌網が展開するまでには数時間程度しかかからない。そのため、教育用動画の題材として用いられることがある(キヌガサタケの仲間の成長の動画)。托の伸長速度は一分間に1 - 4㎜、菌網の伸長速度は同じく1 - 3㎜に及ぶ。托の伸長は、その全長にわたって均一に進むのではなく、初めは托のなかほどで活発な伸長が起こり、次第に托の上方および下方での伸びが大きくなるとされている。さらに、托の伸長には中休みがあり、いったん伸長が鈍った時点で菌網の伸長が開始されるという。ただし、これは形態形成が幼い卵状の子実体の内部ですでに完了し、それが順次に展開するものであるから、厳密な意味で成長と同一視していいかどうかは議論の余地がある。 衣川によれば、じゅうぶんに伸長したキヌガサタケの托の細胞容積は、伸長開始前の細胞容積にくらべて、最大で35.9倍に増大すると報告されている。また、伸長開始前のキヌガサタケの細胞内にはグリコーゲンが検出されるが、伸長が進むにつれて減少し、かわって還元糖が増えてくるという。彼は、グリコーゲンの分解による細胞質内の溶質分子の増加が細胞質の浸透圧低下を妨げ、細胞の膨大を促進していると推定している。
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