現在の成績
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/03/25 07:27 UTC 版)
アメリカでは、現在、標準リスク群の5年無進行生存率は約80%、高リスク群のうち、3歳未満については約30%、それ以外の高リスク群は約50%の成績と言われている。 しかし日本では、アメリカやヨーロッパの成績と比較すると治療研究体制が遅れており、成績は劣っていると言われている。日本脳腫瘍統計の報告では、髄芽腫全体で、2年生存率が67%、5年生存率が42%となっている。しかもこれは全生存率であって、無進行生存率ではないことから、この報告をベースとする限り、実際に治癒するのは30パーセント台なのではないかと推測される。 日本では、上記抗がん剤のうち、CCNUが未承認であることから、米国のプロトコールをそのまま使うことができず、現在、脳外科医が中心となって、日本独自のICE療法(標準リスク、高リスクともに全脳全脊髄24Gy+局所計54Gyの放射線照射、シスプラチン20mg/m2、イホスファミド900mg/m2、エトポシド60mg/m2の5日間投与、これを1クールとして6クール行うプロトコール)が広く行われている。しかしICE療法については1995年から厚生労働省研究班によって胚細胞種と髄芽腫に対して研究がなされているが、胚細胞種については良好な結果が得られたものの、髄芽腫に対してはきちんとした臨床試験は行われておらず、その成績は12年経過した現在も公表されていない。イホスファミドについては、同種のアルキル化剤であるシクロホスファミドに比べて、髄芽腫に有効であるという世界的なデータがなく、他方で、シクロホスファミドには見られない神経症状や腎毒性などの副作用が見られる。特に腎毒性については、シスプラチンとの併用により過度の副作用を招きやすい。世界的にも、髄芽腫の治療にはイホスファミドはほとんど用いられていないのが現状である。また、ICE療法については、骨髄抑制が激しく、回復を待つ期間がかかるため、治療期間が長期間になりがちで、その間に再発を招いたり、もしくは予定通りの治療を行うことができないなどの報告がなされている。
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