物権の排他性
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/30 15:20 UTC 版)
同一物に対しては、同一内容の物権は、一つしか成立しない。同一の物に対して同一内容の物権が複数成立すると、物への直接的支配が失われるからである。このような性質を物権の排他性、一物一権主義と呼ぶ。例えば、同一の物について二重に譲渡する契約が結ばれた場合は、先に登記、明認方法等の対抗要件を備えたものが当該物についての所有権を取得する。なお、同一の物について二重に譲渡する契約自体は、債権契約としては有効で、所有権を取得できなかったものは、債務不履行による損害賠償請求をすることができる。 債権の場合は、特定物の使用に関して完全に同一内容の債権を複数創出することは可能である。ただし、実際の使用権は、物権の場合と同じく、先に明認方法などの対抗要件を設けた者に認められ、他の債権者は、債務不履行による損害賠償を債務者に請求できるに限られる。 また、債権の譲渡については、物権と同様に排他性があり、1個の債権を複数に重複して譲渡することはできない。1個の債権を複数に重複して譲渡する契約が為された場合において、目的の債権を取得できなかったものは、債権を譲り受ける債権に基づいて、債権の譲り渡しを約した者に対して債務不履行による損害賠償請求が可能である。
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