牡牛を屠るミトラス
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/26 20:02 UTC 版)
この図像はミトラス神による聖牛供儀の場面を描いている。ミトラス神はペルシア風の衣装に身を包んでおり、牡牛の背中に乗りかかって左膝をつきながら、右足で牡牛の後ろ脚を押さえつけている。その左手は牡牛の鼻面をつかみ、右手は牡牛に剣を突き立てている。傷口からあふれる血には犬と蛇が、また牡牛の腹の下ではサソリが牡牛の生殖器に跳びかかっている。ミトラス神の両側には松明を持った2人の脇侍神カウテースとカウトパテースが侍り、またそれ以外にも太陽と月、四方の風、十二宮、カラスなどのシンボルを伴う。 この図像が聖牛の供儀によって生命力が解放されるさまを描いていることから、ミトラス教は豊穣崇拝と密接な関係があると考えられる。これはミトラス教の図像の中で最も重要なもので、ミトラス教神殿の至聖所中央に必ずこの図像が配置され、その前で儀礼が執り行われた。 犬と蛇は牡牛の血を飲もうとしている。 牡牛の睾丸を攻撃するサソリ。
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