無効との関係
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/05/05 16:37 UTC 版)
取消しと無効を比較すると、無効な法律行為は、法律行為の外形はあるものの、そこから法律的な効果が生じないものをいう。取り消しうる法律行為は法律的な効果は有効だが、取消権をもつ者が取消しの意思表示をすると法律行為の時に遡って無効となる。 ローマ法では無効は裁判で宣言すれば足りると考えられていた。そのためローマ法やフランス法には取消しの概念が生じず、誰からでも主張できる絶対的無効と相手方や第三者からは主張できない相対的無効が存在した。一方、ドイツでは形成権の概念が発見され、絶対的無効は無効、相対的無効は取消しに整理された。日本では明治時代の立法過誤により錯誤を無効と規定したため無効と取消しを区別する立法でありながら相対的無効も存在する状態になっていたが、2017年の民法改正(2020年4月施行予定)で錯誤が取消しに改正されたことで解消された(ただし意思無能力無効については論点が残されている)。 特定の法律行為を無効にするか取り消すことができるとするかは立法政策の問題である。通常、無効ではなく取り消すことができる場合とされるのは、特定の人を保護するための規定に違反した行為で、その者の意思に従って効力を決すればよい場合である。 一個の法律行為が無効の要件も取消しの要件も満たすときは、原則としてどちらを主張することもできる。
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