洗礼の場所
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/05/03 14:55 UTC 版)
洗礼者ヨハネはユダの荒れ野で教えていたという。ユダの荒れ野というのは死海から高地へあがった乾燥した地域で人はあまり住んでいなかった。荒れ野という言葉がしばしば砂漠と同義にとられることがあるが、砂漠ほど乾燥していたわけではなく、放牧が行われていた。プリニウスはこの地域がエッセネ派の暮らす地域であったといっており、実際に洗礼者ヨハネがエッセネ派の指導者の一人であったという説もある。聖書学者ドナルド・グスリー(Donald Guthrie)によれば、当時都市よりも荒れ野のほうが神に近い場所であると考えられていたという。 福音書によればイエスはヨルダン川でヨハネと会ったとされる。イエスの洗礼の場所とされてきた区域のひとつは、アレンビー渓谷の南、カシール・アル・ヤフドとよばれるヨルダン川の西岸である。現代ではここに正教会の修道院があるが、イスラエル軍の軍事監視区域となっており、一般人の立ち入りが制限されている。だが、イエスにゆかりのあるヨルダン川で洗礼を受けたいという人々が多く集まるため、一部に開放区域が設けられている。同じ区域のヨルダン川東岸も古代よりキリスト教徒たちに尊重されてきた。ヨルダン政府観光局は東岸こそイエスの洗礼の場所であると宣伝しており、実際に東岸の遺跡アル=マグタスはイエスの洗礼の地として2015年に世界遺産リストに登録された。
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