泰平紙
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/11/26 03:43 UTC 版)
岩石唐紙の皺紋をさらに工夫改良して、皺紋をより目立たせたものが、泰平紙(太平紙)である。漉くときの流し込みの時に、四隅に簀よりはみ出すように漉きあげ、水を濾し終わった湿紙の時に、左右に引っ張ったり、前後に縮めたりを繰り返して、皺紋を大きくつくり乾燥させる。乾燥すると岩石唐紙の皺紋よりもくっきりとしたエンボス上の凹凸ができる。 『楽水紙製造起源及び沿革』によると、「天保14年(1843年)初めてこれを製し、将軍家斉公の上覧を かたじけなふせしおり、未だ紙名なきを以て、泰平の御代にできたればとて、泰平紙とこそ下名せられたれ」とある。この泰平紙は、皺紋だけでなく染色したり、透かし文様を入れて襖障子用に用いられた。泰平紙の製法について『明治十年内国勧業博覧会出品解説』によると、「漉框(漉桁)に紙料を注ぎ入れてから、竜・鳥・草花などの画紋を描き、引き上げて水分がやや滴下したときに、簀を六〜七回振り動かして皺紋をつくる。」とある。
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