法華経の見宝塔品第十一
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/20 01:58 UTC 版)
多宝如来は、過去仏(釈尊以前に悟りを開いた無数の仏)の1人であり、東方無量千万億阿僧祇(あそうぎ)の宝浄国に住するという(「無量千万億阿僧祇」とは「無限のかなた」というほどの意味)。中国、朝鮮半島、日本を通じて多宝如来単独の造像例はほとんどなく、法華経信仰に基づいて釈迦如来とともに2体1組で表される場合がほとんどである。釈迦如来と多宝如来を一対で表すのは、法華経の第11章にあたる見宝塔品(けんほうとうほん)の次の説話に基づく。 釈尊(釈迦)が説法をしていたところ、地中から七宝(宝石や貴金属)で飾られた巨大な宝塔が出現し、空中に浮かんだ。空中の宝塔の中からは「すばらしい。釈尊よ。あなたの説く法は真実である」と、釈尊の説法を称える大音声が聞こえた。その声の主は、多宝如来であった。多宝如来は自分の座を半分空けて釈尊に隣へ坐るよう促した。釈尊は、宝塔内に入り、多宝如来とともに坐し、説法を続けた。過去に東方宝浄国にて法華経の教えによって悟りを開いた多宝如来は「十方世界(世界のどこにでも)に法華経を説く者があれば、自分が宝塔とともに出現し、その正しさを証明しよう」という誓願を立てていたのであった。 この説話に基づき、釈迦如来と多宝如来を一対で造像したり、1つの台座に釈迦如来と多宝如来が並んで坐す並坐像(びょうざぞう)が作られた。
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